「更年期障害の時に食べてはいけないものはある?」
「コーヒーや甘いものは控えた方がいい?」
「ホットフラッシュや動悸が食事で悪化する気がする」
「何を食べればよいのかわからず不安」
更年期になると、これまで問題なく食べていたものが、急に体に合わないと感じることがあります。
ほてりや発汗が強くなる。
動悸がする。
眠れなくなる。
胃がもたれる。
体重が増えやすくなる。
こうした変化があると、「食べてはいけないものを全部避けなければ」と考えてしまうかもしれません。
しかし、結論からいうと、更年期障害だからといって、すべての人が絶対に食べてはいけない食品は基本的にありません。
大切なのは、特定の食品を完全に禁止することではなく、自分の症状を悪化させるものを見つけて、量や時間帯を調整することです。
日本産科婦人科学会でも、更年期障害には女性ホルモンの変化だけでなく、加齢による体の変化、心理的要因、家庭や職場などの社会的要因が複合的に関係すると説明しています。治療では、食事、運動、睡眠などの生活習慣の改善も検討されます。
更年期に「食べてはいけない」と言い切れるものは少ない
更年期障害の症状や体質には、大きな個人差があります。
コーヒーを飲んでも問題がない人もいれば、少量で動悸や不眠が強くなる人もいます。
辛い料理でホットフラッシュが悪化する人もいれば、特に変化を感じない人もいます。
そのため、
「更年期にはコーヒー禁止」
「甘いものは一切食べてはいけない」
「肉は食べない方がいい」
と一律に決める必要はありません。
過度な食事制限は、たんぱく質、炭水化物、カルシウムなどの不足につながり、かえって体調を崩す可能性があります。厚生労働省の女性向け健康情報でも、食事制限や偏った食生活によって、たんぱく質や炭水化物などが不足するケースが紹介されています。
避けることよりも、まずは食事全体のバランスを整えることが重要です。
更年期に控えたいもの①カフェインの多い飲み物
コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどにはカフェインが含まれています。
カフェインには覚醒作用があるため、摂りすぎると、
・眠れない
・眠りが浅くなる
・動悸を感じる
・不安感が強くなる
・胃がムカムカする
・トイレが近くなる
といった不調につながることがあります。
更年期に不眠、動悸、不安感がある人は、カフェインによって症状が強くなったように感じる場合があります。
また、厚生労働省の女性向け情報では、カフェインが鉄の吸収を妨げたり、マグネシウムやカルシウムの排出に影響したりする可能性があるため、食事と時間を空ける、飲み物を置き換えるなどの工夫が紹介されています。
特に、夕方以降のカフェインは睡眠に影響しやすいため注意しましょう。
完全にやめる必要はありませんが、
・飲む量を減らす
・午後はデカフェにする
・空腹時に濃いコーヒーを飲まない
・エナジードリンクを習慣にしない
といった調整がおすすめです。
更年期に控えたいもの②アルコール
アルコールを飲むと、一時的に気分が楽になったり、眠りやすくなったりするように感じることがあります。
しかし、飲酒後の睡眠は浅くなりやすく、夜中に目が覚める、朝早く目覚めるといった不調につながることがあります。
また、アルコールによって血管が広がると、
・顔が熱くなる
・発汗が増える
・動悸がする
・ホットフラッシュのような症状が出る
こともあります。
「糖質の少ない酒なら問題ない」と考える人もいますが、糖質が少なくてもアルコールであることは変わりません。厚生労働省の女性向けサイトでも、糖質が低い蒸留酒はアルコール度数が高いことがあるため注意が必要とされています。
お酒を飲んだ日にほてり、不眠、頭痛、動悸が悪化する場合は、量や頻度を減らしてみましょう。
睡眠薬や抗不安薬などを服用している場合は、アルコールとの併用が危険なこともあるため、医師や薬剤師に確認してください。
更年期に控えたいもの③辛すぎる料理
唐辛子を多く使った料理や刺激の強い食品は、体が熱くなったり、汗が出たりすることがあります。
更年期にホットフラッシュや大量の発汗がある人は、辛い料理を食べた後に症状が強くなる場合があります。
ただし、辛いものが好きな人が完全に禁止する必要はありません。
・辛さを控えめにする
・体調の悪い日は避ける
・夜遅い時間には食べない
・汗やほてりが強くなるか記録する
といった方法で、自分に合う量を探しましょう。
胸やけや胃痛、吐き気がある人も、香辛料の多い料理を控えることで楽になる場合があります。
更年期に控えたいもの④脂っこい食べ物
揚げ物、脂身の多い肉、こってりしたラーメン、クリームを多く使った料理などは、消化に時間がかかることがあります。
更年期に胃もたれ、吐き気、胸やけがある人は、脂っこい食事によって症状が悪化する可能性があります。
また、更年期以降は血圧、血糖、脂質などの健康管理も重要になります。日本産婦人科医会では、更年期の診療において血圧、血糖、脂質の評価を行い、食事については低脂肪食やカルシウム、ビタミンDを意識することが推奨されています。
肉をすべて避けるのではなく、
・脂身の少ない肉を選ぶ
・揚げるより焼く、蒸す、煮る
・魚や大豆製品も取り入れる
・野菜や海藻と組み合わせる
といった工夫が現実的です。
更年期に控えたいもの⑤甘いものや清涼飲料水
疲れやイライラがあると、チョコレート、菓子パン、ケーキ、甘い飲料などが欲しくなることがあります。
少量を楽しむ程度であれば、必要以上に恐れることはありません。
ただし、甘いものだけで食事を済ませたり、一日に何度も甘い飲み物を飲んだりすると、必要な栄養素を摂りにくくなります。
また、甘いものを食べた後に急に空腹感が出る、眠くなる、だるくなると感じる人もいます。
甘いものを食べる時は、
・食事の代わりにしない
・袋から直接食べ続けない
・小皿に取り分ける
・甘い飲料より水やお茶を選ぶ
・ヨーグルトや果物なども活用する
といった方法がおすすめです。
「一度食べたら失敗」と考える必要はありません。無理な我慢によって反動で食べすぎるより、適量を楽しむことが大切です。
更年期に控えたいもの⑥塩分の多い食品
カップ麺、加工肉、漬物、スナック菓子、市販の惣菜などには、塩分が多く含まれることがあります。
更年期以降は血圧が変化する人もいるため、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
厚生労働省の健康情報でも、日本の食生活では、しょうゆ、みそ、漬物などによって食塩を多く摂る傾向があるとされています。
完全に塩を使わないのではなく、
・麺類のスープを残す
・調味料をかける前に味見する
・漬物や加工肉を毎食食べない
・酢、レモン、香味野菜を活用する
・栄養成分表示の食塩相当量を確認する
といった方法で減塩しましょう。
更年期に控えたいもの⑦夜遅い時間の食事
就寝直前にたくさん食べると、胃腸が動き続けるため、寝つきが悪くなったり、胸やけが起きたりすることがあります。
更年期に不眠、吐き気、胃もたれがある人は、食べる内容だけでなく、時間帯にも注意しましょう。
帰宅が遅くなる日は、
・夕方に軽く食べておく
・夜は消化のよいものを少量にする
・揚げ物や大量の食事を避ける
・食後すぐに横にならない
といった工夫が役立ちます。
大豆製品は食べすぎてはいけない?
更年期には、豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品が注目されます。
大豆食品にはたんぱく質やカルシウムなどが含まれているため、一般的な食品として適量を食事に取り入れることはできます。
ただし、「更年期に良いらしいから」と、豆乳や大豆製品だけを大量に摂る必要はありません。
特に、大豆イソフラボンのサプリメントや濃縮された健康食品は、通常の食品とは摂取量が異なります。
持病がある人、ホルモンに関係する病気の治療中の人、薬を服用している人は、サプリメントを始める前に医師や薬剤師へ相談しましょう。
健康食品は、更年期障害の治療薬の代わりにはなりません。
更年期に積極的に取りたい食事
更年期の食事では、「何を食べてはいけないか」だけでなく、「何を組み合わせるか」を考えることが大切です。
基本は、
・ご飯、パン、麺などの主食
・魚、肉、卵、大豆製品などの主菜
・野菜、きのこ、海藻などの副菜
を組み合わせることです。
厚生労働省の食事バランスガイドでも、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つの料理グループを組み合わせ、食事全体のバランスを取ることが示されています。
更年期以降は、特に次の栄養を意識しましょう。
たんぱく質
筋肉や皮膚、血液などを作るために必要です。
魚、肉、卵、大豆製品、乳製品などを、毎食少しずつ取り入れましょう。
カルシウムとビタミンD
閉経後は骨密度が低下しやすくなるため、骨の健康にも注意が必要です。
牛乳、ヨーグルト、小魚、豆腐、青菜、きのこ類などを組み合わせましょう。骨粗しょう症予防では、カルシウムだけに偏らず、さまざまな食品をバランスよく食べることが重要です。
野菜・きのこ・海藻
ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂るために役立ちます。
毎食完璧にそろえられなくても、みそ汁に野菜を加える、冷凍野菜を使う、総菜のサラダを足すなど、続けやすい工夫をしましょう。
食べ物と症状の関係を記録する
どの食品で症状が悪化するかは、人によって異なります。
次の内容を1~2週間ほど記録すると、自分の傾向を見つけやすくなります。
・食べたものと時間
・コーヒーやお酒の量
・ほてりや発汗の有無
・動悸や頭痛
・胃もたれや吐き気
・眠れたかどうか
・月経の状態
・その日のストレスや疲労
ただし、一度症状が出ただけで、その食品が原因と決めつけないことも大切です。
睡眠不足、気温、ストレス、体調など、食事以外の条件も一緒に確認しましょう。
食事だけで改善しない時は婦人科へ
更年期障害は、食生活を整えるだけですべて解決するとは限りません。
ほてり、発汗、動悸、不眠、気分の落ち込みなどが強く、仕事や家事、外出に支障がある場合は婦人科へ相談しましょう。
更年期障害では、生活習慣の改善に加えて、ホルモン補充療法、漢方薬、症状に応じた薬物療法などが検討されます。
また、急激な体重減少、食欲不振、強い腹痛、繰り返す嘔吐、血便、胸の痛みなどがある場合は、更年期障害と決めつけず、内科などを受診してください。
まとめ:更年期は「禁止」より食べ方の調整が大切
更年期障害だからといって、すべての人が絶対に食べてはいけない食品は基本的にありません。
ただし、症状によっては、
・カフェインの多い飲み物
・アルコール
・辛すぎる料理
・脂っこい食べ物
・甘いものや清涼飲料水
・塩分の多い食品
・就寝直前の大量の食事
を控えることで、ほてり、動悸、不眠、胃もたれなどが楽になる場合があります。
大切なのは、「これは禁止」と厳しく決めることではありません。
食べた後に症状が強くなるかを確認し、量や時間を調整することです。
そして、主食、主菜、副菜をそろえ、たんぱく質、カルシウム、野菜などを無理なく取り入れましょう。
更年期は、体の変化に合わせて食べ方を見直す時期でもあります。
完璧な食生活を目指さなくても大丈夫です。
コーヒーを一杯減らす。
夜のお酒を休む日を作る。
食事に副菜を一品足す。
小さな工夫を続けながら、自分の体が楽に感じる食べ方を見つけていきましょう。

