「更年期になってから、体が重くて起き上がれない」
「頭痛やめまい、吐き気がひどくて一日中寝込んでしまう」
「家事も仕事もできず、自分を責めている」
「寝込むほどつらいのは更年期障害として普通なの?」
このような状態が続くと、いつまで寝込む生活が続くのか、何か重大な病気ではないかと不安になりますよね。
更年期症状には大きな個人差があります。ほとんど不調を感じない人がいる一方で、複数の症状が重なり、寝込んでしまうほどつらくなる人もいます。日本産婦人科医会でも、更年期症状が重なり、つらくて寝込む人がいると説明されています。
また、更年期に現れる症状のうち、日常生活に支障をきたすほど重い状態を「更年期障害」といいます。
そのため、寝込むほどの不調は「大げさ」「怠け」と考えるべきものではありません。
ただし、強い倦怠感やめまい、頭痛、気分の落ち込みなどは、更年期障害以外の病気でも起こります。
「更年期だから仕方がない」と我慢し続けず、原因を確認して適切な治療を受けることが大切です。
更年期障害で寝込むほどつらくなることはある?
更年期障害では、一つの症状だけでなく、さまざまな不調が同時に現れることがあります。
たとえば、
・強い倦怠感
・ほてりや大量の発汗
・動悸や息苦しさ
・頭痛
・めまいやふらつき
・吐き気や食欲不振
・関節痛や肩こり
・眠れない
・気分の落ち込み
・不安感
・集中力の低下
などが重なると、起き上がることさえ難しくなる場合があります。
夜に十分眠れず、朝から疲れ切っている。
起きるとめまいや吐き気がする。
少し動くだけで動悸がする。
何もする気力が起きない。
このような状態で無理を続ければ、寝込む日が増えても不思議ではありません。
更年期障害は、女性ホルモンの変化だけでなく、仕事や家庭の負担、ストレス、体質などが複雑に関係して起こります。
寝込むほどつらくなる主な原因
強い倦怠感
更年期には、「寝ても疲れが取れない」「体に鉛が入っているように重い」と感じる人がいます。
更年期による睡眠の乱れ、ホットフラッシュ、精神的なストレスなどが重なると、心身の回復が追いつかなくなります。
朝から体が動かない。
身支度をするだけで疲れる。
横になっていないとつらい。
こうした強い倦怠感によって、寝込む時間が増えることがあります。
ただし、倦怠感は貧血、甲状腺機能の異常、肝臓の病気、うつ病などでも現れます。日本産婦人科医会も、更年期障害の診断では、甲状腺機能異常、貧血、肝機能障害、うつ病などを除外する必要があるとしています。
めまいやふらつき
更年期には、ふわふわする、足元が不安定になる、立ち上がると頭が遠くなるといっためまいを感じる人もいます。
めまいが強い時に無理に歩くと、転倒する危険があります。
そのため、安全のために横になっているうちに、そのまま長時間寝込んでしまうことがあります。
ただし、めまいには耳の病気、貧血、血圧の変化、脳の病気なども関係します。
激しいめまいが突然起きた場合や、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくいといった症状がある場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
頭痛や吐き気
更年期には、頭痛や吐き気によって起きていられなくなる人もいます。
頭痛が強い。
光や音がつらい。
胃がムカムカして食べられない。
起き上がると吐きそうになる。
このような状態では、暗く静かな部屋で横にならざるを得ないことがあります。
ただし、今までにない激しい頭痛や、何度も吐いて水分が取れない状態は、更年期障害だけでは説明できない可能性があります。
突然の激しい頭痛は、厚生労働省が迷わず119番を検討する症状の一つとして挙げています。
不眠による疲労
更年期では、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、早朝に起きてしまうといった睡眠障害が起こることがあります。
眠ったつもりでも睡眠が浅く、朝から強い疲労感が残ることがあります。
何日も十分に眠れない状態が続くと、
・朝起きられない
・日中も横になりたい
・頭が働かない
・体に力が入らない
・気持ちが落ち込む
といった不調につながります。
「昼間に寝るから夜に眠れない」と自分を責める人もいますが、症状が強い時は必要な休息を取ることも大切です。
ただし、一日中眠り続ける、昼夜が完全に逆転する、強い気分の落ち込みがある場合は、婦人科や心療内科などへ相談しましょう。
気分の落ち込みや不安
更年期には、イライラ、不安感、憂うつ感、意欲低下などの精神的な症状も現れます。
「何もしたくない」
「起きても意味がない気がする」
「人に会いたくない」
「家事や仕事を考えるだけでつらい」
このような状態が強くなると、布団から出られなくなることがあります。
更年期による精神症状と、うつ病の症状は似ていることがあります。
特に、
・気分の落ち込みが2週間以上続く
・以前楽しめたことが楽しめない
・自分には価値がないと感じる
・食欲や睡眠が大きく変化した
・消えてしまいたいと思う
といった状態がある場合は、「更年期だから」と我慢せず、早めに医療機関へ相談してください。
寝込んだ日は無理に動くべき?
寝込んでしまうと、
「このままでは体力が落ちる」
「横になっているから治らない」
「家族に迷惑をかけている」
と焦ってしまう人がいます。
しかし、めまい、吐き気、強い頭痛、動悸などがある時に、無理に動く必要はありません。
まずは安全を確保し、体を休ませましょう。
ただし、何日も完全に寝たきりの状態が続くと、筋力や体力が低下し、さらに動きにくくなることがあります。
症状が少し落ち着いている時間には、
・ベッドの上で手足をゆっくり動かす
・一度座って水分を取る
・窓を開けて光を入れる
・室内を数分歩く
・食事を少量ずつ取る
など、できる範囲で体を起こしてみましょう。
「今日は散歩をしなければ」と大きな目標を立てる必要はありません。
トイレまで歩けた。
着替えられた。
食事を少し食べられた。
それだけでも十分です。
寝込んだ時の対処法
水分を少しずつ取る
寝込んでいる時は、水分を取る回数が減りやすくなります。
ほてりや発汗、吐き気がある場合は、さらに脱水になりやすいため注意が必要です。
一度に大量に飲む必要はありません。
水やお茶などを、少量ずつこまめに飲みましょう。
嘔吐や下痢、大量の発汗がある時は、必要に応じて経口補水液も検討します。
水分が取れない、尿が極端に少ない、意識がぼんやりする場合は、医療機関へ相談してください。
食べられるものを少量取る
吐き気や食欲不振がある時に、無理に通常量の食事を取る必要はありません。
おかゆ、スープ、うどん、豆腐、ヨーグルト、バナナなど、食べやすいものを少量ずつ試してみましょう。
ただし、何日もほとんど食べられない場合や、急激に体重が減っている場合は受診が必要です。
症状を記録する
寝込むほど症状が強い場合は、次の内容を記録しておくと診察に役立ちます。
・いつから寝込むようになったか
・何日くらい続くか
・どの症状が一番つらいか
・朝、昼、夜のどの時間に悪化するか
・月経周期との関係
・ほてりや発汗の有無
・睡眠時間
・食事や水分が取れているか
・服用している薬
・仕事や家庭のストレス
「つらい」とだけ伝えるより、症状の経過がわかると診断や治療につながりやすくなります。
家事や仕事を減らす
寝込むほどつらい時に、健康な時と同じように家事や仕事をこなそうとすると、さらに症状が悪化することがあります。
・食事は総菜や宅配を利用する
・掃除を毎日しない
・家族に役割を分担する
・予定をキャンセルする
・職場に業務量の調整を相談する
・休暇や時短勤務を検討する
ことも必要です。
休むことは甘えではありません。
日常生活に支障が出ている時点で、治療や環境調整を検討してよい状態です。
何日寝込んだら病院へ行くべき?
受診の判断は、寝込んだ日数だけでなく、症状の強さや生活への影響で考えます。
次のような場合は、早めに婦人科や内科へ相談しましょう。
・寝込む日が繰り返しある
・数日休んでも改善しない
・仕事や家事ができない
・水分や食事を十分に取れない
・めまいや頭痛が強い
・動悸や息苦しさが続く
・眠れない日が続いている
・強い気分の落ち込みがある
・市販薬だけで長期間対処している
・症状が徐々に悪化している
更年期障害は、生活に支障が出ている場合に治療の対象となります。
「もっと重症の人がいるから」
「寝ていればいつか治るから」
と我慢する必要はありません。
何科を受診すればいい?
ほてり、発汗、月経不順、不眠など、更年期らしい症状とともに寝込んでいる場合は、婦人科が相談先になります。
婦人科では、症状や月経の状態、持病などを確認し、必要に応じてホルモン補充療法、漢方薬、睡眠や精神症状に対する薬などを検討します。
強い倦怠感、動悸、息切れ、体重変化などがある場合は、内科で貧血、甲状腺、肝臓、心臓などの病気を確認することも大切です。
気分の落ち込み、不安、不眠が特に強い場合は、心療内科や精神科への相談も選択肢になります。
どこへ行けばよいかわからない場合は、まず婦人科か、かかりつけの内科へ相談して構いません。
更年期障害の治療で寝込む状態は改善する?
寝込む原因が更年期障害であれば、適切な治療によって改善が期待できます。
主な治療には、
・生活習慣や休息の見直し
・ホルモン補充療法
・漢方薬
・不眠や不安、気分の落ち込みに対する薬
・カウンセリングなどの心理的支援
があります。
日本産科婦人科学会では、ほてりや発汗などにはホルモン補充療法が効果的で、精神症状などに応じて抗うつ薬などを使用する場合もあるとしています。
ただし、治療法は症状、持病、年齢、月経の状態などによって異なります。
自己判断でホルモン剤やサプリメントを使わず、医師と相談しながら決めましょう。
更年期以外の病気にも注意
寝込むほどの不調がある場合、更年期障害以外の病気が隠れていることがあります。
たとえば、
・貧血
・甲状腺機能の異常
・うつ病
・感染症
・心臓の病気
・耳の病気
・片頭痛
・睡眠時無呼吸症候群
・薬の副作用
などです。
更年期の時期は、甲状腺の病気なども増えやすく、症状が更年期障害と似ていることがあります。
婦人科で更年期障害と診断する際も、貧血や甲状腺異常など、ほかの病気ではないことを確認します。
すぐに医療機関へ相談すべき症状
次のような症状がある場合は、更年期障害として自宅で寝て様子を見ず、速やかに医療機関へ相談してください。
・突然の激しい頭痛
・胸や背中の激しい痛み
・急な息苦しさや呼吸困難
・顔の片側がゆがむ
・片方の手足に力が入らない
・ろれつが回らない
・意識がぼんやりする
・けいれんがある
・立つこともできないほどのめまい
・何度も吐いて水分が取れない
・黒い便や吐血がある
・高熱が続く
厚生労働省は、突然の激しい頭痛、胸や背中の突然の激痛、急な息切れや呼吸困難などを、迷わず119番を検討する症状として案内しています。
救急車を呼ぶか迷う場合は、利用できる地域では救急相談窓口「#7119」に相談できます。医師や看護師などが、緊急性や受診の必要性について助言します。
また、「消えてしまいたい」「死にたい」と感じる場合は、一人で抱え込まず、家族や医療機関、地域の相談窓口へすぐにつながってください。
家族や周囲に理解してもらうには
寝込むほどつらくても、外見では不調が伝わりにくいことがあります。
「寝てばかりいる」
「気合いが足りない」
「年齢のせいだから我慢するしかない」
と言われ、傷つく人もいます。
家族や職場には、
「更年期障害は、生活に支障が出るほど症状が重くなることがある」
「今日はめまいと吐き気が強く、安全に動けない」
「休めば必ず治るわけではないので、受診が必要」
と具体的に伝えてみましょう。
症状を口頭で説明しにくい場合は、体調記録や医師の診断書を見せる方法もあります。
まとめ:寝込むほどつらい更年期障害は我慢しなくていい
更年期障害では、強い倦怠感、めまい、頭痛、吐き気、不眠、気分の落ち込みなどが重なり、寝込んでしまうことがあります。
寝込むほどつらいからといって、あなたが弱いわけでも、怠けているわけでもありません。
日常生活に支障が出ている状態は、すでに治療を検討してよい更年期障害の可能性があります。
ただし、
・貧血
・甲状腺の病気
・うつ病
・心臓や脳の病気
・耳の病気
・薬の副作用
などでも似た症状が現れます。
「更年期だから仕方がない」と決めつけず、寝込む日が繰り返す場合や、数日休んでも改善しない場合は、婦人科や内科へ相談してください。
体調が悪い日は休む。
水分と食事を少しずつ取る。
家事や仕事を減らす。
症状を記録する。
必要な治療を受ける。
回復するために休むことは、逃げではありません。
これまで頑張ってきた体からのサインを無視せず、今は自分を守ることを優先しましょう。

