妊活中にビタミンEを意識したい理由
ビタミンEは抗酸化で細胞を守る栄養素
妊活中にビタミンEが気になる人は多いです。
ビタミンEは、抗酸化作用をもつ栄養素として知られています。
抗酸化作用とは、体の中で増えすぎた活性酸素から細胞を守る働きのことです。
活性酸素は、体の中で自然に作られるものです。
完全な悪者ではありません。
しかし、ストレス、睡眠不足、喫煙、飲酒、偏った食事などが重なると、体に負担をかけることがあります。
妊活では、卵子や精子、子宮環境などが気になりやすいため、細胞を守る栄養素としてビタミンEに注目が集まります。
厚生労働省eJIMでも、ビタミンEは抗酸化物質として働き、細胞をフリーラジカルによる傷害から守ると説明されています。(ejim.mhlw.go.jp)
ビタミンEは脂溶性ビタミンです。
脂溶性とは、油に溶けやすいという意味です。
そのため、油を使った料理や脂質を含む食事と一緒にとると、体に吸収されやすくなります。
ビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類、植物油、魚介類、かぼちゃ、アボカドなどに含まれます。
こうした食品を毎日の食事に少しずつ入れることで、自然に取り入れやすくなります。
ただし、ビタミンEをとれば妊娠しやすくなる、という単純な話ではありません。
妊活には、年齢、排卵、卵管、子宮、精子の状態、体重、睡眠、ストレス、持病など、たくさんの要素が関係します。
ビタミンEは、妊娠を決めるスイッチではなく、体の土台を支える栄養素です。
妊活中は「これを飲めば大丈夫」という答えを探したくなります。
でも、本当に大切なのは、ひとつの栄養素に頼りすぎないことです。
ビタミンEは、毎日の食事の中で不足しないようにとる、心強い脇役として考えましょう。
「若返りビタミン」と期待しすぎない
ビタミンEは、昔から「若返りビタミン」と呼ばれることがあります。
この言葉を聞くと、妊活中の人は「卵子も若返るのでは」「妊娠しやすくなるのでは」と期待したくなるかもしれません。
その気持ちはとても自然です。
妊活中は、年齢や卵子の質、AMH、採卵結果などが気になりやすく、少しでも良いことをしたいと思うものです。
でも、ビタミンEを飲めば卵子が若返る、妊娠率が必ず上がる、と言える十分な根拠はありません。
ビタミンEは抗酸化に関わる大切な栄養素ですが、妊娠を約束する薬ではありません。
厚生労働省eJIMでは、ビタミンEサプリについて、病気の予防に役立つかどうかは研究によって結果が分かれることがあり、上限値より少ない量でも有害となる可能性を示す研究があると紹介されています。(ejim.mhlw.go.jp)
つまり、体に必要な栄養だからといって、サプリで多くとるほどよいとは限りません。
妊活では、よい情報ほど強く信じたくなることがあります。
「これで卵子が若返る」「これで着床しやすくなる」と聞くと、試さないと損をするように感じてしまいます。
しかし、体はひとつの栄養素だけで動いているわけではありません。
卵子や精子の状態には、年齢、睡眠、食事、運動、喫煙、飲酒、持病、治療内容など、さまざまな要素が関わります。
ビタミンEだけを増やしても、夜更かしや食事抜き、強いストレスが続いていれば、体の土台は整いにくいです。
妊活中にビタミンEを取り入れるなら、「若返り」を期待して大量に飲むより、食事の質を上げるために使うほうが安心です。
たとえば、甘いお菓子の代わりに少量のナッツを食べる。
揚げ物ばかりではなく、魚や野菜を使った料理を増やす。
こうした小さな変化のほうが、毎日続けやすく、体にもやさしいです。
ビタミンEは、夢の成分ではなく、体を支える栄養です。
期待しすぎず、でも上手に味方につけましょう。
妊活中にビタミンEをとる食べ物
アーモンド・ナッツ・植物油を上手に使う
ビタミンEを食事からとるなら、まず思い浮かぶのがアーモンドです。
アーモンドにはビタミンEが多く含まれています。
妊活中のおやつとして、チョコレートや菓子パンの代わりに無塩アーモンドを少し食べるのは、取り入れやすい方法です。
ただし、ナッツは体に良いイメージがあっても、カロリーが高い食品です。
食べすぎると、エネルギーのとりすぎにつながることがあります。
目安としては、片手に軽くのるくらいの量から考えるとよいでしょう。
「体に良いから袋ごと食べる」という食べ方はおすすめできません。
ナッツは、よくかんで食べると満足感が出やすいです。
小腹がすいたときに、アーモンド数粒と温かいお茶を組み合わせると、間食の質を上げやすくなります。
植物油にもビタミンEが含まれます。
ひまわり油、べに花油、オリーブオイル、なたね油など、油の種類によって含まれる量は違います。
ただし、油もとりすぎればカロリーが増えます。
ビタミンEのために油をたくさん使う必要はありません。
野菜炒めに少量の油を使う。
サラダにオリーブオイルを少し合わせる。
かぼちゃやにんじんを油で軽く炒める。
このくらいの使い方で十分です。
ビタミンEは脂溶性なので、油と一緒にとることで吸収されやすくなります。
NIHの資料でも、ビタミンEの吸収には脂肪が必要であり、植物油やナッツ類などが食品源として挙げられています。(ods.od.nih.gov)
妊活中は、油を全部避けるような食事制限をする人もいます。
しかし、脂質はホルモンや細胞膜にも関わる大切な栄養です。
問題は、油をとることそのものではなく、揚げ物や加工食品に偏ることです。
良質な油を少量使い、ナッツを食べすぎない範囲で楽しむ。
このバランスが、妊活中のビタミンEの上手な取り入れ方です。
魚・卵・緑黄色野菜も組み合わせる
ビタミンEというと、アーモンドや植物油ばかりが注目されます。
でも、妊活中の食事では、魚、卵、緑黄色野菜も組み合わせることが大切です。
なぜなら、妊活に必要なのはビタミンEだけではないからです。
魚には、ビタミンEのほかに、たんぱく質や脂質、種類によってはビタミンDも含まれます。
鮭、いわし、さば、さんまなどは、日常の食事に取り入れやすい魚です。
卵は、手軽にたんぱく質をとれる食品です。
朝食にもお弁当にも使いやすく、妊活中の食事を整える助けになります。
緑黄色野菜には、ビタミンEだけでなく、βカロテン、ビタミンC、葉酸、食物繊維などが含まれます。
かぼちゃ、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、にんじんなどを食事に入れると、栄養の幅が広がります。
厚生労働省eJIMでも、食品にはビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維や健康によい可能性のある成分が含まれるため、いろいろな食品を食べることが大切だと説明されています。(ejim.mhlw.go.jp)
たとえば、朝は卵と小松菜の味噌汁。
昼は鮭のおにぎりと野菜スープ。
夜はさば缶とブロッコリーの炒め物。
このような組み合わせなら、ビタミンEだけでなく、たんぱく質やほかのビタミンも一緒にとれます。
妊活中は、栄養を細かく計算しようとすると疲れてしまいます。
そんなときは、食卓の色を見てみましょう。
白いごはん。
茶色い肉や魚。
緑の野菜。
黄色やオレンジのかぼちゃやにんじん。
色が増えると、自然に栄養の種類も増えやすくなります。
また、魚や卵を食べることで、満足感が出やすくなります。
甘いものだけでお腹を満たすより、体に必要な材料を入れやすくなります。
ビタミンEをとりたいからといって、アーモンドだけを毎日たくさん食べる必要はありません。
魚、卵、野菜、ナッツ、植物油を少しずつ組み合わせることが、妊活中にはいちばん続けやすい方法です。
サプリでビタミンEをとるときの注意点
高用量サプリは飲み合わせと量に注意する
ビタミンEはサプリでもよく売られています。
美容や抗酸化を目的に、妊活中に飲んでみようと思う人もいるでしょう。
しかし、ビタミンEサプリは量に注意が必要です。
ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、体にたまりやすい性質があります。
水溶性ビタミンのように、余った分がすぐに出ていくとは考えないほうがよいです。
特に、ビタミンE単体のサプリは高用量の商品があります。
厚生労働省eJIMでは、1日1回飲むマルチビタミン・ミネラルにはビタミンEが約13.5mg含まれる一方、ビタミンEだけのサプリメントには67mg以上含まれているのが一般的だと説明されています。(ejim.mhlw.go.jp)
また、ビタミンEには血液を固まりにくくする方向に働く可能性があります。
NIHの資料でも、高用量のαトコフェロールサプリは出血を起こしやすくしたり、血液の凝固に影響したりする可能性があると説明されています。(ods.od.nih.gov)
そのため、血液をサラサラにする薬を飲んでいる人、手術の予定がある人、不妊治療中で薬を使っている人は、自己判断で高用量サプリを始めないほうが安心です。
ビタミンEの成人の耐容上限量について、NIHは天然型または合成型のαトコフェロールで1日1,000mgとしています。(ods.od.nih.gov)
ただし、上限より下なら必ず安全という意味ではありません。
体質、薬、持病、ほかのサプリとの組み合わせによって注意点は変わります。
妊活中は、妊娠している可能性がある時期もあります。
だからこそ、サプリは「妊娠しているかもしれない前提」で選ぶことが大切です。
マルチビタミン、妊活サプリ、美容サプリを重ねている場合は、ビタミンEの合計量を確認しましょう。
サプリは、不足を補う道具です。
多く飲むほど妊活に効くものではありません。
妊活ではビタミンEだけでなく生活全体を整える
妊活中にビタミンEを意識することは、食事を見直すよいきっかけになります。
ナッツを少し取り入れる。
魚を食べる回数を増やす。
野菜に少量の油を合わせる。
こうした工夫は、体づくりに役立ちます。
でも、妊活で本当に大切なのは、ビタミンEだけを増やすことではありません。
体は、たくさんの栄養と生活習慣が重なって働いています。
たんぱく質は、体を作る材料になります。
鉄は、血液を通して酸素を運ぶ働きに関わります。
亜鉛は、細胞づくりや生殖機能に関係します。
葉酸は、妊娠前から特に意識したいビタミンです。
ビタミンCは、抗酸化や鉄の吸収に関わります。
ビタミンDは、骨や体の働きを支える栄養素です。
つまり、妊活中の体づくりはチーム戦です。
ビタミンEだけが主役ではありません。
妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品以外から葉酸を1日400μgとることが望ましいと、厚生労働省のe-ヘルスネットでも説明されています。(kennet.mhlw.go.jp)
ビタミンEを意識しながらも、葉酸や鉄、たんぱく質なども一緒に見ることが大切です。
食事の基本は、主食、主菜、副菜です。
主食は、ごはん、パン、麺などです。
主菜は、肉、魚、卵、大豆製品などです。
副菜は、野菜、きのこ、海藻などです。
ここに、ナッツや植物油を少し取り入れると、ビタミンEを自然に足しやすくなります。
また、睡眠不足、強いストレス、喫煙、飲酒、極端なダイエットは、妊活中の体に負担になります。
ビタミンEサプリを飲んでいても、生活が大きく乱れていれば、体の土台は整いにくいです。
妊活が長引いている場合や、生理不順、強い生理痛、排卵の不安、男性側の精子の不安がある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
ビタミンEは、妊活中の体を支える心強い栄養素です。
でも、妊娠を約束する魔法ではありません。
食事、睡眠、運動、医療相談を組み合わせながら、無理なく整えていきましょう。

