「歩いていると足元がふわふわする」
「雲の上を歩いているような感じがする」
「頭が浮いているようで、まっすぐ歩きにくい」
「更年期になってから、ふらつきやめまいが増えた」
このような症状が続くと、倒れてしまうのではないか、脳の病気ではないかと不安になりますよね。
更年期には、めまいやふらつきを感じる人がいます。日本産婦人科医会でも、更年期にみられる症状として、めまい、耳鳴り、頭痛、動悸、息切れ、不眠、不安感などが挙げられています。
ただし、ふわふわするめまいは、更年期障害だけで起こるものではありません。
耳の病気、血圧の変化、貧血、薬の影響、脳や心臓の病気などでも起こるため、「更年期だから」と自己判断しすぎないことが大切です。
「ふわふわする」とはどのようなめまい?
めまいというと、天井や周囲がぐるぐる回る状態をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、めまいにはいくつかの感じ方があります。
・周囲や自分が回っているように感じる
・雲の上を歩いているようにふわふわする
・船に乗っているように揺れる
・体が左右に流れる
・足元が安定しない
・立ち上がった時に目の前が暗くなる
・頭がぼんやりして気が遠くなりそうになる
日本神経学会でも、めまいには「ぐるぐる回る」「ふわふわする」「気が遠くなりそう」「目の前が暗くなる」など、異なる症状が含まれると説明されています。
ふわふわして足元が不安定になる感覚は、一般に「浮動性めまい」や「動揺性めまい」と表現されることがあります。
更年期にふわふわする原因
女性ホルモンの変化
更年期は、閉経の前後約5年ずつ、合計約10年間を指します。一般的には45~55歳頃で、卵巣機能の低下によって女性ホルモンの分泌が大きく変化する時期です。
女性ホルモンの変化は、体温調節、血圧、睡眠、精神状態などに影響を与えることがあります。
そのため、
・ほてり
・発汗
・動悸
・息苦しさ
・頭痛
・めまい
・疲労感
などが重なり、体がふわふわするように感じる場合があります。
ただし、ホルモンの変化だけで症状が決まるわけではありません。体質、性格、家庭や仕事の環境、ストレスなども更年期症状の現れ方に関係します。
自律神経の乱れ
自律神経は、血圧、心拍数、発汗、体温、胃腸の働きなどを自動的に調節しています。
更年期に自律神経のバランスが乱れると、立った時や歩いている時の血圧調整が不安定になり、
「頭がふわっとする」
「足元が頼りない」
「体が浮くように感じる」
といった症状が出ることがあります。
ほてりや動悸と同じタイミングでふわふわする場合は、自律神経の変化が関係している可能性があります。
睡眠不足や疲労
更年期には、寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めるといった睡眠の不調も起こります。
十分に眠れていない状態が続くと、
・頭がぼんやりする
・集中できない
・足元が不安定に感じる
・立ちくらみがする
・光や音に敏感になる
といった不調が出やすくなります。
また、仕事、家事、育児、介護などを無理して続けていると、夕方や疲労がたまった時にふわふわ感が強くなることもあります。
不安やストレス
不安や緊張が強い時にも、ふわふわしためまいが出ることがあります。
「まためまいが出たらどうしよう」
「外出先で倒れたら困る」
「脳の病気かもしれない」
このように考えると、呼吸が浅くなり、肩や首に力が入り、体の感覚に意識が集中します。
その結果、実際の揺れ以上にふらつきを強く感じることがあります。
症状は気のせいではありません。
不安とめまいが影響し合い、悪循環になっている可能性があります。
耳の病気でもふわふわする
めまいの原因として多いのが、耳の奥にある内耳の病気です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、めまいの原因は耳の病気が多いものの、脳や心臓など幅広い原因があると説明しています。
耳が原因となる代表的な病気には、次のようなものがあります。
良性発作性頭位めまい症
寝返りを打つ、起き上がる、上や下を向くなど、頭の位置を変えた時に強いめまいが起きる病気です。
多くはぐるぐる回るようなめまいですが、発作後にふわふわ感や不安定感が残る人もいます。
メニエール病
めまいに加えて、
・耳鳴り
・難聴
・耳が詰まった感じ
などが繰り返し現れる病気です。
メニエール病では、激しい回転性めまいと聴覚症状を伴うことが特徴とされています。
耳鳴りや聞こえにくさがある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
貧血や血圧の変化
更年期は月経が不規則になり、出血量が増えることがあります。
月経量が多い状態が続くと、鉄欠乏性貧血になり、
・立ちくらみ
・ふわふわする
・息切れ
・動悸
・疲れやすい
・顔色が悪い
といった症状が出る可能性があります。
また、急に立ち上がった時だけ頭がふわっとする場合は、血圧の変化が関係していることもあります。
婦人科や内科で血液検査や血圧測定を受けることで、原因を確認できます。
首や肩のこり
首や肩の筋肉が強く緊張している時に、頭が重い、ふわふわする、目が疲れると感じる人もいます。
更年期には、肩こりや頭痛もよくみられます。
長時間のスマートフォンやパソコン作業、運動不足、睡眠不足が重なると、首や肩の緊張が強くなります。
ただし、「首こりが原因だろう」と決めつけるのではなく、症状が続く場合は医療機関で確認しましょう。
薬の影響
更年期の時期には、睡眠薬、抗不安薬、血圧の薬、アレルギー薬などを服用している人もいます。
薬によっては、眠気、ふらつき、血圧低下などが起こることがあります。
新しい薬を飲み始めた後や、薬の量が変わった後にふわふわ感が出た場合は、薬の影響も考えられます。
自己判断で薬を中止せず、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
ふわふわする時の対処法
まず安全な場所で休む
ふわふわする時に無理に歩き続けると、転倒する危険があります。
まずは手すりや壁につかまり、安全な場所に座りましょう。
車や自転車の運転中に症状が出た場合は、安全を確保して停止してください。
急に立ち上がらない
横になった状態や座った状態から急に立つと、ふらつきが強くなることがあります。
起き上がる時は、
- まず横向きになる
- ゆっくり上半身を起こす
- 座ったまま数十秒待つ
- 手すりなどにつかまって立つ
というように、段階を踏みましょう。
水分をとる
汗をかいた後、水分不足、食事を抜いた時などは、ふらつきが出やすくなることがあります。
水やお茶を少量ずつ飲みましょう。
大量の発汗や嘔吐、下痢がある場合は、必要に応じて経口補水液も検討します。
睡眠と休息を確保する
睡眠不足や過労が続いている場合は、生活を整えることも大切です。
・できるだけ同じ時間に起きる
・夜更かしを減らす
・予定を詰め込みすぎない
・夕方以降のカフェインを控える
・疲れた日は早めに休む
完璧に整えようとする必要はありません。
まずは、睡眠時間を少し確保することから始めましょう。
症状を記録する
めまいの診断では、症状が出る状況が重要な手がかりになります。
次のようなことを記録しておきましょう。
・いつ始まったか
・何分、何時間続くか
・ぐるぐる回るか、ふわふわするか
・立った時に強いか
・頭を動かすと悪化するか
・耳鳴りや難聴があるか
・頭痛や吐き気を伴うか
・月経やほてりとの関係
・服用している薬
・睡眠時間や疲労の程度
受診時に伝えることで、診断に役立ちます。
更年期障害の治療で改善する?
ふわふわする症状が更年期のホルモン変化や自律神経の乱れと関係している場合は、更年期障害への治療によって改善する可能性があります。
治療では症状や体質、持病などに応じて、
・生活習慣の見直し
・漢方薬
・ホルモン補充療法
・不安や不眠に対する治療
などが検討されます。
ただし、耳や脳など別の病気が原因の場合は、その病気に合った治療が必要です。
最初から「更年期のめまい」と決めつけず、必要な検査を受けることが大切です。
何科を受診すればいい?
ほてり、発汗、月経不順、不眠など、更年期症状と一緒にふわふわ感が出ている場合は、婦人科に相談できます。
耳鳴り、難聴、耳の詰まり、頭を動かした時のめまいがある場合は、耳鼻咽喉科が適しています。
動悸、息切れ、貧血、血圧の変化が疑われる場合は、内科へ相談しましょう。
手足のしびれ、言葉の出にくさ、激しい頭痛などがある場合は、脳神経内科や脳神経外科、救急医療が必要になることがあります。
どこを受診すればよいかわからない場合は、まず内科やかかりつけ医に相談して構いません。
すぐに受診した方がよい症状
次のような症状がある場合は、単なる更年期障害と考えて様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
・突然、激しいめまいが起きた
・ろれつが回らない
・顔の片側が動きにくい
・片方の手足に力が入らない
・物が二重に見える
・今までにない激しい頭痛がある
・意識がぼんやりする
・立つことも歩くこともできない
・胸の痛みや強い息苦しさがある
・失神した
・何度も吐いて水分がとれない
脳卒中など緊急性の高い病気でも、めまいやふらつきが現れることがあります。
また、耳鳴りや聞こえにくさを伴うめまいが続く場合も、早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
まとめ:更年期のふわふわ感を我慢しすぎない
更年期には、ホルモンバランスや自律神経の変化によって、体がふわふわする、足元が不安定になる、頭が浮くように感じることがあります。
さらに、
・睡眠不足
・疲労
・不安やストレス
・貧血
・血圧の変化
・耳の病気
・薬の影響
などが関係している可能性もあります。
更年期の時期に始まったからといって、すべてが更年期障害とは限りません。
いつ起こるのか。
頭を動かすと悪化するのか。
耳鳴りや難聴はないか。
頭痛やしびれを伴っていないか。
こうした点を確認し、症状が続く場合は婦人科、耳鼻咽喉科、内科などへ相談しましょう。
ふわふわする感覚は、周囲から見えにくく、理解されにくい症状です。
「気のせい」
「年齢だから仕方がない」
と我慢する必要はありません。
原因を確認し、自分に合った治療と休息を取り入れることが、安心を取り戻す第一歩になります。

