妊活中にビタミンB群を意識したい理由
ビタミンB群は体のエネルギー作りを助ける
ビタミンBと聞くと、ひとつの栄養素のように感じるかもしれません。
でも実際には、ビタミンB群という仲間の集まりです。
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸などがあります。
それぞれ働きは少しずつ違いますが、共通しているのは、体の中で食べ物をエネルギーに変えたり、細胞の働きを助けたりすることです。
妊活中は、排卵やホルモンバランスばかりが気になりやすいです。
けれど、体が毎日しっかり動くためには、まずエネルギーを作る仕組みが大切です。
ごはんやパンなどの糖質、肉や魚などのたんぱく質、油に含まれる脂質は、食べただけではすぐに使えるわけではありません。
体の中で使える形に変える必要があります。
その作業を助けるのがビタミンB群です。
つまり、ビタミンB群は体の中の小さな作業員のような存在です。
目立ちはしませんが、いないと体の流れがうまく回りにくくなります。
妊活中に疲れやすい、食事が乱れている、朝食を抜くことが多いという人は、ビタミンB群を含む食事を見直すきっかけになります。
ただし、ビタミンB群をとれば妊娠しやすくなる、という単純な話ではありません。
妊活には、年齢、排卵、卵管、子宮、精子の状態、体重、睡眠、ストレス、持病など、たくさんの要素が関係します。
ビタミンB群は、妊娠を決めるスイッチではなく、体の土台を支える栄養素です。
厚生労働省eJIMでも、マルチビタミンは食生活の代わりにはならず、食品には健康に役立つさまざまな栄養素や成分が含まれると説明されています。
だからこそ、サプリだけに頼るより、まず毎日の食事を整えることが大切です。
葉酸は妊娠前から特に大切なビタミンB
妊活中のビタミンB群で、特に大切なのが葉酸です。
葉酸はビタミンB9とも呼ばれる栄養素です。
赤ちゃんの体が作られ始める妊娠初期に深く関わります。
とくに、脳やせき髄のもとになる神経管が作られる時期に重要です。
この時期は、妊娠に気づく前と重なることがあります。
だからこそ、葉酸は妊娠してからではなく、妊娠を考え始めた時期から意識することが大切です。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食事に加えて、サプリメントなどから1日400μgの葉酸をとることが望ましいとされています。
ここで大切なのは、「葉酸をとれば必ず妊娠できる」という意味ではないことです。
葉酸は妊娠しやすくする薬ではありません。
赤ちゃんの発育リスクを減らすために、妊娠前から準備しておきたい栄養素です。
葉酸は、ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、納豆、アスパラガス、いちごなどにも含まれています。
ただし、神経管閉鎖障害のリスク低減を目的とする場合は、食事だけでなく、サプリメントや栄養強化食品などからの葉酸がすすめられています。
妊活中は、葉酸サプリを選ぶ人も多いでしょう。
その場合は、1日分に葉酸がどのくらい入っているかを確認してください。
「妊活用」と書いてあるだけで安心せず、成分表示を見ることが大切です。
また、葉酸だけを飲んでいれば食事は適当でよい、というわけでもありません。
葉酸は大切ですが、体にはたんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンD、カルシウムなども必要です。
妊活中の葉酸は、特別な栄養でありながら、食事全体の中で考えることが大切です。
妊活中に知っておきたいビタミンBの種類
ビタミンB6・B12は血液や神経にも関わる
ビタミンB群の中で、妊活中に葉酸と一緒に知っておきたいのが、ビタミンB6とビタミンB12です。
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関わります。
たんぱく質は、筋肉、血液、ホルモン、酵素など、体の多くの部分を作る材料です。
妊活中は、卵や肉、魚、大豆製品などからたんぱく質をしっかりとることが大切ですが、そのたんぱく質を体の中で使うためにもビタミンB6が関わっています。
ビタミンB6は、まぐろ、かつお、鮭、鶏肉、バナナ、じゃがいも、にんにくなどに含まれます。
難しく考えなくても、魚や肉を主菜にして、野菜やいも類を組み合わせると取り入れやすいです。
ビタミンB12は、血液や神経の健康に関わる栄養素です。
葉酸と一緒に、赤血球を作る働きにも関係します。
ビタミンB12が不足すると、貧血や神経の不調につながることがあります。
ビタミンB12は、肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれます。
そのため、肉や魚をほとんど食べない人、完全菜食に近い食事をしている人は不足に注意が必要です。
厚生労働省eJIMでも、ベジタリアンやビーガンなど動物性食品をほとんど食べない人は、食事から十分なビタミンB12を摂取できない可能性があると説明されています。
妊活中に菜食中心の食事をしている人は、自己判断で済ませず、医師や管理栄養士に相談すると安心です。
また、高用量の葉酸をとると、ビタミンB12不足が見落とされる可能性があるとも説明されています。
葉酸だけをたくさん飲めばよいのではなく、B群全体のバランスを見ることが大切です。
ビタミンB6もB12も、妊娠を約束する栄養素ではありません。
でも、体の働きを支える大切な仲間です。
葉酸だけに注目しすぎず、毎日の食事でB群を広くとる意識を持ちましょう。
ビタミンB群は食べ物からこまめにとる
ビタミンB群は、水に溶けやすい水溶性ビタミンです。
体の中にたくさんためておくのが得意ではないため、毎日の食事からこまめにとることが大切です。
一度にたくさん食べたり、サプリをまとめて飲んだりするより、毎日の食卓に少しずつ入れるほうが体に合いやすいです。
ビタミンB群をとる食事は、特別な高級食材でなくても作れます。
ビタミンB1なら豚肉、玄米、大豆製品などに含まれます。
ビタミンB2なら卵、乳製品、納豆、魚などに含まれます。
ビタミンB6なら魚、鶏肉、バナナ、じゃがいもなどに含まれます。
ビタミンB12なら魚、肉、卵、乳製品などに含まれます。
葉酸なら緑黄色野菜、枝豆、納豆、いちごなどに含まれます。
たとえば朝食なら、納豆ごはん、卵、味噌汁という組み合わせがあります。
昼食なら、豚肉の定食や魚の定食を選ぶと、ビタミンB群とたんぱく質を一緒にとれます。
夕食なら、鮭、豆腐、小松菜、きのこ、玄米やごはんを組み合わせると、栄養の幅が広がります。
忙しい日は、コンビニでも工夫できます。
おにぎりだけで済ませるより、ゆで卵、焼き魚、サラダチキン、豆腐、納豆巻き、野菜スープなどを足すと、ビタミンB群を含む食品に近づきます。
妊活中は「完璧な食事」を目指すと疲れてしまいます。
それよりも、毎食どこかにたんぱく質を入れることを意識すると、自然にビタミンB群もとりやすくなります。
また、ビタミンB群は互いに助け合いながら働くため、ひとつだけを大量にとるより、いろいろな食品から幅広くとることが大切です。
サプリは便利ですが、食品にはビタミン以外にも食物繊維、ミネラル、たんぱく質などが含まれます。
妊活中の体づくりでは、サプリで足す前に、まず食事の形を整えることが基本です。
サプリでビタミンBをとるときの注意点
葉酸サプリは量と種類を確認する
妊活中にビタミンBのサプリを選ぶなら、まず確認したいのが葉酸です。
葉酸は、妊娠前から意識したい栄養素としてよく知られています。
厚生労働省の資料では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、神経管閉鎖障害のリスク低減のため、通常の食品以外から葉酸を1日400μgとることが望ましいとされています。
そのため、妊活サプリに葉酸が入っているか、1日分でどれくらいとれるかを見ることが大切です。
ただし、葉酸は多ければ多いほどよいものではありません。
厚生労働省eJIMでは、高用量の葉酸によってビタミンB12欠乏症が見落とされる可能性があると説明されています。
つまり、葉酸だけを自己判断でたくさん飲むのはおすすめできません。
マルチビタミン、妊活サプリ、美容サプリ、鉄サプリなどをいくつも使っている人は、葉酸やビタミンB群が重なっていないか確認しましょう。
また、サプリには「葉酸」と書かれているもののほか、「モノグルタミン酸型葉酸」などと表示されているものがあります。
神経管閉鎖障害のリスク低減を目的としてすすめられているのは、通常の食品以外に含まれる葉酸です。
難しく感じる場合は、産婦人科や薬局で相談すると選びやすくなります。
妊活中は、妊娠している可能性がある時期もあります。
そのため、海外製の高用量サプリや、成分量がわかりにくい商品は慎重に考えましょう。
「天然」「女性向け」「妊活におすすめ」という言葉だけで選ぶのではなく、成分量、飲む粒数、他のサプリとの合計量を見ることが大切です。
サプリは、不足を防ぐための便利な道具です。
でも、飲む量が増えるほど安心できるものではありません。
葉酸は必要な量を毎日続けることが大切であり、過剰にがんばる必要はありません。
ビタミンBだけでなく生活全体を整える
妊活中にビタミンB群を意識することは、とてもよいきっかけになります。
葉酸、B6、B12などは、体の働きや赤ちゃんの発育準備に関わる大切な栄養素です。
しかし、妊活で本当に大切なのは、ビタミンBだけを増やすことではありません。
体は、たくさんの栄養と生活習慣が重なって動いています。
たんぱく質は、体を作る材料になります。
鉄は、血液を通して酸素を運ぶ働きに関わります。
亜鉛は、細胞づくりや生殖機能に関係します。
ビタミンDは、骨や免疫の働きにも関わります。
ビタミンCやEは、抗酸化の面で注目されます。
このように、妊活中の体づくりはチーム戦です。
ビタミンBだけが主役ではありません。
まずは、主食、主菜、副菜をそろえることを意識しましょう。
主食は、ごはん、パン、麺などです。
主菜は、肉、魚、卵、大豆製品などです。
副菜は、野菜、きのこ、海藻などです。
この形を作ると、ビタミンB群だけでなく、ほかの栄養素もとりやすくなります。
厚生労働省eJIMでも、妊娠など特定のライフステージではサプリが役立つことがある一方、サプリに関する疑問は医師、管理栄養士、薬剤師などに相談することがすすめられています。
特に、不妊治療中の人、持病がある人、薬を飲んでいる人、強い貧血がある人、菜食中心の人は、自己判断でサプリを増やす前に相談すると安心です。
また、睡眠不足、喫煙、飲酒、強いストレス、極端なダイエットも妊活中の体に負担になります。
ビタミンBサプリを飲んでいても、夜更かしや食事抜きが続けば、体の土台は整いにくいです。
妊活では、ひとつの栄養素に期待を集めすぎないことが大切です。
ビタミンB群は、毎日の体を支える心強い栄養素です。
食事でこまめにとり、必要な分だけサプリで補いながら、無理のない生活習慣を重ねていきましょう。

