妊活中にビタミンを意識したい理由
ビタミンは体を動かす小さなサポーター
妊活中にビタミンA、B、C、D、Eが気になる人は多いです。
ビタミンと聞くと、美容や元気のための栄養というイメージがあるかもしれません。
でも、妊活中に考えるビタミンは、もっと広く「体が毎日きちんと働くためのサポーター」と見るとわかりやすいです。
ビタミンは、体の中でエネルギーを作ったり、細胞を守ったり、血液や皮膚や骨の健康に関わったりします。
妊娠は、受精卵が細胞分裂をくり返しながら育つことから始まります。
そのため、妊活中は体の土台を整えておくことが大切です。
ただし、ビタミンは「妊娠するためのスイッチ」ではありません。
ビタミンを飲んだから排卵が必ず整う、卵子が若返る、妊娠率が一気に上がる、というものではありません。
妊活には、年齢、排卵、卵管、子宮、精子の状態、体重、睡眠、ストレス、持病など、いろいろな要素が関係します。
ビタミンは、その中で体を支える材料のひとつです。
特に妊娠を考える女性にとって大切な栄養素として、葉酸があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、神経管閉鎖障害のリスク低減のため、通常の食品以外から葉酸を1日400μgとることが望ましいとされています。(mhlw.go.jp)
このように、ビタミンの中には妊娠前から特に意識したいものがあります。
一方で、ビタミンAのように、とりすぎに注意が必要なものもあります。
だからこそ、「何となく全部多めにとる」のではなく、それぞれの特徴を知って選ぶことが大切です。
ビタミンは、妊活の主役ではなく、体づくりを支える大事な脇役です。
「たくさん飲めば妊娠しやすい」と考えない
妊活中は、「少しでも良いことをしたい」という気持ちから、サプリをいくつも買いたくなることがあります。
ビタミンA、B、C、D、Eが入ったマルチビタミン。
葉酸サプリ。
美容サプリ。
鉄や亜鉛のサプリ。
気づくと、同じ栄養素を重ねて飲んでいることもあります。
ここで大切なのは、ビタミンは多ければ多いほど良いものではない、ということです。
ビタミンには、水に溶けやすい水溶性ビタミンと、油に溶けやすい脂溶性ビタミンがあります。
ビタミンB群やビタミンCは水溶性です。
ビタミンA、D、Eは脂溶性です。
脂溶性ビタミンは体にたまりやすいため、サプリで高い量を続けると、とりすぎになることがあります。
特にビタミンAは、妊娠の可能性がある時期には注意が必要です。
NIHの資料では、妊娠中に高用量のビタミンAをとると先天異常の原因になることがあるため、成人の上限量を超えないよう注意が必要だと説明されています。(ods.od.nih.gov)
一方で、ビタミン不足もよくありません。
極端な食事制限、朝食抜き、菓子パンやインスタント食品中心の食事が続くと、必要な栄養が足りにくくなります。
妊活中は、サプリを足す前に、まず食事の内容を見直すことが大切です。
主食はごはん、パン、麺です。
主菜は肉、魚、卵、大豆製品です。
副菜は野菜、きのこ、海藻です。
この3つをそろえるだけでも、ビタミンやミネラルをとりやすくなります。
サプリは便利ですが、食事の代わりではありません。
また、妊活サプリとマルチビタミンを一緒に飲む場合は、成分表示を見て合計量を確認しましょう。
妊活では、がんばりすぎて体に負担をかけるより、必要なものを適量とることが大切です。
ビタミンA・B・Cの役割と食べ物
ビタミンAは粘膜や成長に関わるが、とりすぎ注意
ビタミンAは、目、皮膚、粘膜、免疫、成長に関わる大切な栄養素です。
妊活中も、体のコンディションを整えるために必要です。
ビタミンAには、大きく分けて2つの形があります。
ひとつは、レバー、うなぎ、卵、乳製品などに含まれるレチノールです。
もうひとつは、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などに含まれるβカロテンです。
βカロテンは、体の中で必要に応じてビタミンAに変わります。
そのため、野菜からとるビタミンAは、通常の食事では過剰になりにくいと考えられています。
一方で注意したいのは、レバーや高用量サプリに含まれるレチノールです。
レバーは栄養豊富な食品ですが、ビタミンAも多く含まれます。
妊娠の可能性がある時期に、レバーを毎日のようにたくさん食べたり、ビタミンAサプリを重ねて飲んだりするのは慎重になったほうがよいです。
NIHは、成人のビタミンA上限量を3,000μgRAEとし、妊娠中に高用量のビタミンAをとると先天異常の原因になることがあると説明しています。(ods.od.nih.gov)
ここで大切なのは、ビタミンAを避けることではありません。
不足も体によくありません。
問題は、サプリやレバーなどで一気に多くとりすぎることです。
妊活中の食事では、にんじん、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜を上手に使うと安心です。
油と一緒に調理すると吸収されやすくなります。
たとえば、にんじんしりしり、かぼちゃの煮物、ほうれん草の卵炒め、小松菜と油揚げの味噌汁などは、家庭でも取り入れやすいメニューです。
ビタミンAは「必要だけど、とりすぎに注意」の代表です。
妊活中は、野菜から自然にとり、サプリで高用量を足すときは医師や薬剤師に確認しましょう。
ビタミンB群は代謝と葉酸をセットで考える
ビタミンB群は、ひとつのビタミンではなく、いくつもの仲間の集まりです。
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸などがあります。
それぞれ働きは違いますが、共通してエネルギー代謝や体の細胞づくりを助けています。
妊活中に特に大切なのは、葉酸です。
葉酸はビタミンB群のひとつです。
妊娠初期の赤ちゃんの神経管が作られる時期に関係するため、妊娠前から意識する必要があります。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品以外から葉酸を1日400μgとることが望ましいと説明されています。(kennet.mhlw.go.jp)
葉酸は、ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、納豆、いちごなどにも含まれます。
ただし、神経管閉鎖障害のリスク低減を目的とする場合は、食事だけでなく、サプリメントなどからの葉酸がすすめられています。
妊活中のサプリ選びで最初に見るべきもののひとつが葉酸です。
ビタミンB12も大切です。
ビタミンB12は、動物性食品に多く含まれます。
肉、魚、卵、乳製品をあまり食べない人、完全菜食に近い食事をしている人は不足に注意が必要です。
厚生労働省eJIMでは、妊娠中でベジタリアンやビーガンの食事をしている場合、ビタミンB12などを医師からすすめられることがあると紹介されています。(ejim.mhlw.go.jp)
ビタミンB群は水溶性なので、毎日の食事でこまめにとることが大切です。
豚肉、卵、魚、納豆、豆腐、玄米、乳製品、野菜を組み合わせると、自然に取り入れやすくなります。
妊活中は「葉酸だけ」でなく、B群全体を食事で支えることが大切です。
ビタミンCは抗酸化と鉄の吸収を助ける
ビタミンCは、妊活中にも取り入れやすい身近な栄養素です。
よく知られている働きは、抗酸化作用です。
抗酸化作用とは、体の中で増えすぎた活性酸素から細胞を守る働きのことです。
ストレス、睡眠不足、喫煙、飲酒、偏った食事などが続くと、体の中で酸化ストレスが増えやすくなると考えられています。
妊活では、卵子や精子の状態が気になる人も多いため、抗酸化に関わる栄養素としてビタミンCが注目されます。
また、ビタミンCはコラーゲンを作るときにも必要です。
皮膚や血管などの健康にも関わります。
NIHの資料では、ビタミンCはコラーゲンを作るために必要で、抗酸化物質として働き、免疫機能にも関わるとされています。(ods.od.nih.gov)
妊活中にもうひとつ大切なのが、鉄との関係です。
ビタミンCは、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収を助けます。
小松菜、ほうれん草、大豆製品、ひじきなどを食べるときに、ビタミンCを含む野菜や果物を一緒にとると、食事の組み合わせとしてよくなります。
たとえば、納豆ごはんに野菜たっぷりの味噌汁をつける。
小松菜のおひたしに柑橘を添える。
豆腐サラダにブロッコリーやパプリカを入れる。
こうした小さな工夫で、ビタミンCと鉄を一緒にとれます。
ビタミンCが多い食品は、赤ピーマン、黄ピーマン、ブロッコリー、じゃがいも、さつまいも、キウイ、いちご、みかんなどです。
ただし、果物だけでとろうとすると糖分が多くなりやすいので、野菜と果物を組み合わせるのがおすすめです。
サプリで大量にとれば妊娠しやすくなるわけではありません。
成人のビタミンCの耐容上限量は、NIHでは1日2,000mgとされています。(ods.od.nih.gov)
妊活中は、まず食事から毎日少しずつとることを意識しましょう。
ビタミンD・Eの役割と食べ物
ビタミンDは骨だけでなく妊活でも注目される
ビタミンDは、骨の健康に関わる栄養素としてよく知られています。
カルシウムの吸収を助けるため、丈夫な骨を保つうえで大切です。
しかし最近は、妊活や妊娠中の健康との関係でも注目されています。
ビタミンDは、食品からとるだけでなく、日光を浴びることで皮膚でも作られます。
厚生労働省の食事摂取基準でも、日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、日常生活で可能な範囲の適度な日光浴を心がけ、日照時間を考慮することが重要だとされています。(mhlw.go.jp)
妊活中の人は、室内で過ごす時間が長かったり、日焼け対策をしっかりしていたりして、ビタミンDが不足しやすい場合があります。
食べ物では、鮭、さんま、いわし、しらす、卵、きのこ類などに含まれます。
特に魚は、たんぱく質や良質な脂質も一緒にとれるので、妊活中の食事に入れやすい食品です。
ビタミンDは脂溶性なので、脂肪を含む食事と一緒にとると吸収されやすいとされています。(ejim.mhlw.go.jp)
たとえば、鮭の塩焼き、しらす入り卵焼き、きのこのバター炒め、いわし缶と野菜の煮物などは取り入れやすいです。
ただし、ビタミンDも多くとればよいわけではありません。
サプリを高用量で長く飲むと、とりすぎになる可能性があります。
ビタミンDの不足が気になる場合は、血液検査で確認できることもあります。
不妊治療中の人や、サプリを使いたい人は、医師に相談しながら量を決めると安心です。
ビタミンDは、食事、日光、必要に応じた検査やサプリを組み合わせて考える栄養素です。
「飲めば妊娠できる」ではなく、「体の土台を支える」と考えるのがちょうどよいです。
ビタミンEは抗酸化の味方だがサプリ量に注意
ビタミンEは、抗酸化作用をもつ脂溶性ビタミンです。
体の中で脂質の酸化を防ぐ働きがあり、細胞を守る栄養素として知られています。
妊活中は、卵子や精子への酸化ストレスが気になる人も多いため、ビタミンEに関心が集まりやすいです。
ビタミンEは「若返りビタミン」と呼ばれることもありますが、その言葉だけで期待しすぎないことが大切です。
ビタミンEをとれば卵子が若返る、妊娠率が上がる、と言い切れるものではありません。
ただ、体の健康を支える栄養素として、不足しないようにすることは大切です。
ビタミンEが多い食品には、アーモンドなどのナッツ類、植物油、かぼちゃ、アボカド、魚介類などがあります。
厚生労働省eJIMでは、ビタミンEを含む食品として、種実類や植物油などが紹介されています。(ejim.mhlw.go.jp)
妊活中のおやつなら、無塩のアーモンドを少量食べるのもよい方法です。
ただし、ナッツはカロリーが高いので、食べすぎには注意しましょう。
片手に軽くのるくらいを目安にすると続けやすいです。
食事では、かぼちゃの煮物、アボカド入りサラダ、鮭、オリーブオイルを使った野菜料理などでも取り入れられます。
注意したいのは、ビタミンEサプリです。
マルチビタミンに入っている程度なら問題になりにくいことが多いですが、ビタミンE単体のサプリには高用量のものがあります。
厚生労働省eJIMでは、ビタミンEだけのサプリメントには67mg以上含まれているものが一般的だと紹介されています。(ejim.mhlw.go.jp)
また、ビタミンEは血液を固まりにくくする薬などと関係する可能性があるため、薬を飲んでいる人は医師や薬剤師に確認しましょう。
ビタミンEは、食事からほどよくとるには心強い栄養素です。
でも、サプリで多く足せば妊活に強く効く、というものではありません。
抗酸化を考えるなら、ビタミンEだけでなく、ビタミンC、野菜、果物、魚、睡眠、禁煙なども一緒に見ることが大切です。
妊活中のサプリとの付き合い方
食事で土台を作り、足りない分だけ補う
妊活中にビタミンサプリを使うことは、悪いことではありません。
忙しくて食事が乱れやすい人、葉酸を確実にとりたい人、医師から不足を指摘された人にとって、サプリは助けになります。
しかし、サプリは食事の代わりではありません。
まず大切なのは、毎日の食事で体の土台を作ることです。
主食、主菜、副菜をそろえる。
肉、魚、卵、大豆製品を食べる。
野菜、きのこ、海藻を入れる。
果物や乳製品も必要に応じて足す。
このような基本を整えると、ビタミンA、B、C、D、Eだけでなく、鉄、亜鉛、カルシウム、たんぱく質もとりやすくなります。
厚生労働省eJIMでも、食品にはビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維やその他の成分が含まれており、必要量を満たせない場合には栄養強化食品やサプリメントが役立つことがあると説明されています。(ejim.mhlw.go.jp)
妊活サプリを選ぶときは、まず葉酸の量を確認しましょう。
次に、ビタミンAがレチノールとして高く入りすぎていないかを見ることが大切です。
ビタミンD、Eも脂溶性なので、複数のサプリを重ねる場合は合計量に注意します。
ビタミンB群やCは水溶性ですが、高用量なら胃腸症状などが出ることもあります。
「水溶性だからいくらでも安心」とは考えないほうがよいです。
また、同じ妊活サプリでも、商品によって成分の量はかなり違います。
「妊活向け」と書いてあるだけで選ばず、成分表示を見る習慣をつけましょう。
できれば、葉酸、鉄、ビタミンDなど、自分に必要なものを確認して選ぶと安心です。
ビタミンは、足りない分を補うと役立ちます。
でも、足りている人が多く飲めば妊娠しやすくなるわけではありません。
妊活中のサプリは、「がんばりの証」ではなく、「不足を防ぐ道具」として使いましょう。
不妊治療中や持病がある人は医師に相談する
妊活中にビタミンA、B、C、D、Eを意識することは大切です。
でも、不妊治療中の人や持病がある人は、自己判断でサプリを増やす前に医師へ相談することをおすすめします。
排卵誘発剤、ホルモン剤、甲状腺の薬、糖尿病の薬、血液を固まりにくくする薬などを使っている場合、サプリとの飲み合わせを確認したほうが安心です。
特に脂溶性ビタミンであるA、D、Eは、体にたまりやすい性質があります。
高用量の商品を長く飲む場合は注意が必要です。
また、妊活中は「妊娠しているかもしれない時期」が毎月あります。
排卵後から生理予定日までの間は、まだ妊娠検査薬ではわからないこともあります。
だからこそ、妊娠してから気をつけるのではなく、妊活中から安全性を考えて選ぶことが大切です。
NIHの妊娠中のサプリメントに関する資料では、葉酸、鉄、ヨウ素、ビタミンDなど、妊娠中に重要な栄養素が整理されており、サプリの量や上限にも注意が必要だと示されています。(ods.od.nih.gov)
サプリを病院に持っていくのもよい方法です。
商品名だけでなく、成分表が見えるようにしておくと、医師や薬剤師が確認しやすくなります。
「これを飲んでもいいですか」と聞くのは、恥ずかしいことではありません。
むしろ、妊活中の体を守るために大切な行動です。
そして、妊活が長引いている場合は、栄養だけで解決しようとしないことも大切です。
生理不順、強い生理痛、排卵の不安、貧血、甲状腺の異常、男性側の精子の不安など、検査でわかることもあります。
ビタミンを整えることは、体づくりの土台になります。
でも、必要な検査や治療を受けることも、同じくらい大切です。
ビタミンA、B、C、D、Eは、妊活中の体を支える心強い栄養素です。
ただし、主役はサプリではなく、毎日の食事と生活習慣です。
自分の体に合う形で、無理なく、適量を続けていきましょう。

