妊活中に葉酸が大切な理由
葉酸は赤ちゃんの発育準備に関わるビタミン
妊活中にまず意識したい栄養素のひとつが葉酸です。
葉酸はビタミンB群の仲間で、ビタミンB9とも呼ばれます。
体の中では、赤血球を作ったり、DNAを作ったり、細胞が増える働きを助けたりしています。
妊娠は、受精卵が細胞分裂をくり返しながら育っていくことから始まります。
そのため、細胞づくりに関わる葉酸は、妊娠前から大切な栄養素として知られています。
特に注目されるのが、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスク低減との関係です。
神経管とは、妊娠初期に赤ちゃんの脳やせき髄のもとになる部分です。
この大切な部分は、妊娠のかなり早い時期に作られます。
こども家庭庁のプレコンセプションケア情報でも、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食事に加えて、サプリメントや強化食品から葉酸を400μg/日とることが望ましいと説明されています。(precon.cfa.go.jp)
ただし、葉酸をとれば必ず妊娠できるという意味ではありません。
葉酸は、妊娠しやすくする薬ではありません。
妊娠前から赤ちゃんの発育に備えるために、足りない状態を避けたい栄養素です。
妊活には、年齢、排卵、卵管、子宮、精子の状態、体重、睡眠、ストレス、持病など、たくさんの要素が関係します。
葉酸は、その中で体づくりを支える大切な材料のひとつです。
妊活中は「これを飲めば大丈夫」と考えたくなることがあります。
でも、葉酸は魔法のスイッチではありません。
毎日の食事と必要なサプリで、妊娠前から体の準備を整えるための基本として考えることが大切です。
妊娠に気づく前から必要になることがある
葉酸が妊活中から大切だと言われる理由は、必要になる時期がとても早いからです。
妊娠がわかるのは、多くの場合、生理予定日を過ぎてからです。
でも、赤ちゃんの神経管が作られる時期は、妊娠に気づく前と重なることがあります。
つまり、「妊娠したら葉酸を飲もう」と思っていると、準備としては少し遅くなる可能性があります。
だからこそ、妊娠を考え始めた時点から葉酸を意識することがすすめられています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品以外に含まれる葉酸を400μg/日とることが望ましいと紹介されています。(kennet.mhlw.go.jp)
ここでいう「通常の食品以外」とは、サプリメントや葉酸を強化した食品などを指します。
ふだんの食事から葉酸をとることも大切ですが、神経管閉鎖障害のリスク低減を目的とする場合は、サプリなどからの葉酸がすすめられています。
妊活中は、排卵日や基礎体温、高温期の症状などに目が向きやすいです。
でも、葉酸のように「妊娠がわかる前から準備できること」もあります。
これは、妊娠できるかどうかを直接決めるものではありません。
けれど、妊娠したときの赤ちゃんの発育を考えて、前もって整えておきたいことです。
葉酸を始める時期に迷うなら、妊活を始めた日から考えてよいでしょう。
すでに妊活中でまだ飲んでいない人も、気づいた今から始めれば大丈夫です。
「今まで飲んでいなかったからダメ」と自分を責める必要はありません。
妊活は、できることを今日から少しずつ整えていくものです。
葉酸もそのひとつです。
早めに始め、毎日続けやすい形を作ることが大切です。
葉酸をとる食べ物とサプリ
野菜・豆類・果物から毎日少しずつとる
葉酸は、サプリだけでなく食べ物にも含まれています。
葉酸が多い食品としては、ほうれん草、ブロッコリー、白菜、枝豆、とうもろこし、さつまいも、いちご、レバーなどがあります。
こども家庭庁の情報でも、葉酸を多く含む食品として、ほうれん草やブロッコリー、白菜などの野菜、とうもろこし、えだまめ、さつまいも、いちご、レバーなどが紹介されています。(precon.cfa.go.jp)
妊活中の食事では、こうした食品を毎日少しずつ入れることが大切です。
たとえば朝食なら、納豆ごはんに野菜の味噌汁を合わせる。
昼食なら、ブロッコリーや枝豆入りのサラダを足す。
夕食なら、ほうれん草のおひたしや小松菜の炒め物を入れる。
おやつなら、いちごやみかんなどの果物を少し食べる。
このように、特別な料理を作らなくても葉酸を意識することはできます。
ただし、葉酸は水に溶けやすく、熱にも弱い面があります。
野菜を長くゆでると、葉酸がゆで汁に出ていくことがあります。
だからといって、生野菜だけを食べる必要はありません。
味噌汁やスープにして汁ごと食べる。
電子レンジで短時間加熱する。
炒め物にして食べる。
このような工夫で、無理なく取り入れられます。
一方で、レバーは葉酸や鉄を含む食品ですが、ビタミンAも多い食品です。
妊娠の可能性がある時期に毎日のように大量に食べるのは注意が必要です。
葉酸をとりたいからといって、レバーだけに頼る必要はありません。
野菜、豆類、果物を中心に、いろいろな食品からとるほうが安心です。
妊活中の食事は、完璧でなくて大丈夫です。
「今日はブロッコリーを足せた」「納豆を食べた」くらいの小さな積み重ねが大切です。
食事からの葉酸は、体づくりの土台として毎日少しずつ意識しましょう。
サプリは1日400μgを目安に考える
妊活中の葉酸では、食事だけでなくサプリも大切です。
これは、食事が意味ないということではありません。
食事は体づくりの基本です。
でも、神経管閉鎖障害のリスク低減を目的とする場合、通常の食品以外から葉酸をとることがすすめられています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400μg/日とることが望ましいと説明されています。(kennet.mhlw.go.jp)
サプリを選ぶときは、まず1日分に葉酸が何μg入っているかを確認しましょう。
「妊活向け」「女性向け」と書いてあっても、商品によって量は違います。
1粒で400μgなのか、2粒で400μgなのか、飲む量も確認が必要です。
また、葉酸には食品に自然に含まれるものと、サプリや強化食品に使われるものがあります。
神経管閉鎖障害のリスク低減のためにすすめられているのは、サプリメントや強化食品などからの葉酸です。
難しく感じる場合は、産婦人科や薬局で相談すると選びやすくなります。
飲むタイミングは、基本的には続けやすい時間で大丈夫です。
朝食後、夕食後、寝る前など、自分が忘れにくいタイミングを決めると続けやすくなります。
空腹時に飲むと胃がムカムカする人は、食後にしましょう。
葉酸サプリは毎日続けることが大切です。
でも、飲み忘れた日に2日分をまとめて飲む必要はありません。
気づいたら、次の日からいつもの量に戻せば大丈夫です。
妊活中は、サプリを飲めなかっただけで不安になることがあります。
しかし、完璧を目指しすぎると心が疲れます。
葉酸サプリは、未来の妊娠に備えるための習慣です。
「毎日同じ時間に飲む」「見える場所に置く」「パートナーにも声をかけてもらう」など、続けやすい仕組みを作ることが大切です。
葉酸をとるときの注意点
多く飲めばよいわけではない
葉酸は妊活中に大切な栄養素ですが、多く飲めばよいものではありません。
「大切なら多めに飲んだほうが安心」と思う人もいるかもしれません。
でも、サプリは量を守ることが大切です。
厚生労働省eJIMでは、医療従事者にすすめられた場合を除き、サプリメントや栄養強化食品・飲料で上限を超える量の葉酸をとらないほうがよいと説明しています。(ejim.mhlw.go.jp)
その理由のひとつが、ビタミンB12不足を見つけにくくする可能性です。
高用量の葉酸をとると、ビタミンB12欠乏症が見落とされることがあるとされています。(ejim.mhlw.go.jp)
ビタミンB12は、血液や神経の健康に関わる栄養素です。
不足すると、貧血や神経の不調につながることがあります。
特に、肉、魚、卵、乳製品をあまり食べない人、菜食中心の人は、ビタミンB12不足に注意が必要です。
葉酸だけをたくさん飲むのではなく、B群全体や食事全体を見ることが大切です。
また、妊活サプリ、マルチビタミン、美容サプリ、鉄サプリなどを重ねて飲んでいる人は、葉酸が重複していないか確認しましょう。
それぞれの商品では少ない量でも、合わせると多くなることがあります。
サプリの成分表示を見て、1日あたりの合計量を考える習慣をつけると安心です。
海外製のサプリや個人輸入品は、日本の一般的な商品より高用量のことがあります。
成分量がわかりにくいものや、強い効果をうたうものは慎重に選びましょう。
不妊治療中の人、持病がある人、薬を飲んでいる人は、自己判断でサプリを増やす前に医師や薬剤師に相談してください。
葉酸は、妊活中の心強い味方です。
でも、飲む量が増えるほど安心になるわけではありません。
1日400μgを基本に、必要以上に増やさず、毎日続けることを大切にしましょう。
妊活では葉酸だけでなく生活全体を整える
妊活中に葉酸を意識することは、とても大切です。
ただし、葉酸だけで妊活のすべてが整うわけではありません。
体は、たくさんの栄養と生活習慣が重なって働いています。
たんぱく質は、体を作る材料になります。
鉄は、血液を通して酸素を運ぶ働きに関わります。
亜鉛は、細胞づくりや生殖機能に関係します。
ビタミンDは、骨や体の働きを支えます。
ビタミンCやEは、抗酸化の面で注目されます。
葉酸はとても大切ですが、妊活中の体づくりはチーム戦です。
食事の基本は、主食、主菜、副菜です。
主食は、ごはん、パン、麺などです。
主菜は、肉、魚、卵、大豆製品などです。
副菜は、野菜、きのこ、海藻などです。
ここに、果物や乳製品を必要に応じて足すと、栄養の幅が広がります。
国立健康・栄養研究所の妊産婦向け食生活指針でも、妊娠前から健康なからだづくりを始めることや、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事の大切さが示されています。(nibn.go.jp)
葉酸サプリを飲んでいても、朝食を抜く、夜更かしをする、強いストレスをためる、極端なダイエットをする、という生活が続くと、体の土台は整いにくいです。
まずは、できることからで大丈夫です。
朝に納豆や卵を食べる。
昼は定食を選ぶ。
夜は野菜の味噌汁を足す。
寝る前のスマホ時間を少し短くする。
週に何回か散歩する。
こうした小さな習慣も、妊活中の体と心を支えます。
また、妊活が長引いている場合や、生理不順、強い生理痛、排卵の不安、貧血、男性側の精子の不安がある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
栄養を整えることは大切ですが、検査や治療が必要な原因が見つかることもあります。
葉酸は、妊活中にぜひ意識したい栄養素です。
でも、妊娠を約束する魔法ではありません。
食事、サプリ、睡眠、運動、医療相談を組み合わせながら、無理なく体を整えていきましょう。

