「頑張りすぎた後に、パニック発作が出やすい」
「仕事や家事を無理して続けていたら、急に動悸や息苦しさが出た」
「休みたいのに、休むことに罪悪感がある」
「自分が弱いからパニック障害になったのではないかと思ってしまう」
このように悩んでいる方は少なくありません。
パニック障害は、突然強い不安や恐怖が起こり、動悸、息苦しさ、めまい、発汗、震え、胸の不快感、吐き気、死ぬのではないかという恐怖などが出ることがあります。厚生労働省でも、パニック発作では動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸部不快感、めまい、死ぬことへの恐怖などが現れると説明されています。
パニック障害は、気持ちの弱さや甘えで起こるものではありません。
ただし、頑張りすぎ、過労、睡眠不足、強いストレスが続くと、心と体が常に緊張した状態になり、パニック発作や不安感が出やすくなることがあります。
頑張りすぎる人ほど限界に気づきにくい
パニック障害で悩む人の中には、真面目で責任感が強く、周りに迷惑をかけないように頑張ってきた人も多いです。
「自分がやらなければ」
「休んだら迷惑をかける」
「弱音を吐いてはいけない」
「これくらい普通」
「もっと頑張っている人もいる」
このように考えて、体調が悪くても無理を続けてしまいます。
しかし、心と体には限界があります。
限界を超えて頑張り続けると、ある日突然、動悸、息苦しさ、めまい、冷や汗、震え、頭が真っ白になる感覚などが出ることがあります。
それは、あなたが弱いからではありません。
体と心が「もうこれ以上は無理です」と知らせているサインかもしれません。
頑張りすぎがパニック症状につながりやすい理由
頑張りすぎている時、体は常に緊張モードになりやすくなります。
仕事のプレッシャー。
家事や育児の負担。
人間関係のストレス。
睡眠不足。
休めない毎日。
常に気を張っている状態。
こうした状態が続くと、自律神経が乱れやすくなります。
厚生労働省の「こころの耳」では、ストレス反応には心理面、身体面、行動面があり、心理面では不安やイライラ、抑うつ、身体面では頭痛、肩こり、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、不眠などが現れることがあると説明されています。
つまり、頑張りすぎは心だけでなく、体にも症状として現れることがあります。
疲れているのに休めない。
眠れていないのに動き続ける。
不安があるのに我慢する。
この状態が続くと、体の小さな違和感にも敏感になりやすくなります。
少し心臓がドキドキする。
息が浅い気がする。
頭がふわっとする。
胸がざわざわする。
その感覚をきっかけに、
「また発作が起きるかもしれない」
「倒れたらどうしよう」
「このままおかしくなるのでは」
と不安が強まり、さらに症状が大きくなることがあります。
「頑張れば治る」は逆効果になることがある
パニック障害になると、本人は早く元の生活に戻りたいと思います。
そのため、
「もっと頑張れば治る」
「怖くても我慢すれば慣れる」
「気合いで乗り越えなければ」
と考えてしまうことがあります。
しかし、パニック障害は気合いだけで押さえ込むものではありません。
無理に頑張り続けると、発作への恐怖が強くなり、かえって行動範囲が狭くなることがあります。
厚生労働省は、パニック障害では発作の苦しさや怖さから「また発作が起きたらどうしよう」と心配になる予期不安が生じ、電車、人混み、一人での外出、逃げられない場所などを避けるようになることがあると説明しています。
つまり、「怖いけれど無理に頑張る」を繰り返すことで、脳や体がその場所や状況をさらに怖いものとして記憶してしまう場合があります。
大切なのは、無理に耐えることではありません。
安全な範囲で、少しずつ安心できる経験を増やすことです。
頑張りすぎている人に出やすいサイン
パニック障害がある人が頑張りすぎている時、次のようなサインが出ることがあります。
・動悸が増える
・息苦しさを感じやすい
・めまいがする
・胸がざわざわする
・胃腸の調子が悪くなる
・眠りが浅い
・朝起きた時から疲れている
・些細なことで不安になる
・人に会うのがしんどい
・外出前から緊張する
・仕事中に発作が起きそうで怖い
・車や電車が怖くなる
・休日も気が休まらない
・涙もろくなる
・何もしていないのに焦る
これらは、心と体が疲れ切っているサインかもしれません。
特に、睡眠不足と過労が続いている時は注意が必要です。
「まだ大丈夫」と思っていても、体はすでに限界に近づいていることがあります。
休むことに罪悪感がある人へ
頑張りすぎる人ほど、休むことに罪悪感を持ちやすいです。
「自分だけ休んでいいのか」
「家族に迷惑をかける」
「職場に申し訳ない」
「もっと頑張れるはず」
「休んだら負けた気がする」
でも、休むことは逃げではありません。
パニック障害でつらい時に休むことは、悪化を防ぐための大切な行動です。
車が故障しかけている時に、無理に走り続ければ壊れてしまいます。
人の心と体も同じです。
不調が出ている時に必要なのは、さらに頑張ることではなく、回復する時間を作ることです。
「休む=何もしない」ではありません。
休むことは、回復のために必要な行動です。
頑張りすぎをやめるために必要な考え方
パニック障害がある人は、「完璧にこなす」ことよりも、「無理なく続ける」ことを優先する必要があります。
たとえば、次のように考えてみてください。
「全部やる」ではなく、「今日はひとつだけやる」
「完璧に戻る」ではなく、「少し楽になる」
「迷惑をかけない」ではなく、「助けを借りながら回復する」
「不安を消す」ではなく、「不安があっても対処できる」
「頑張る」ではなく、「整える」
パニック障害の回復には、安心感がとても大切です。
自分を追い込む言葉を減らし、自分を守る言葉を増やしていきましょう。
頑張りすぎを防ぐ具体的な対策
頑張りすぎでパニック症状が悪化しやすい人は、生活の中で負担を減らす工夫が必要です。
まずは、予定を詰め込みすぎないことです。
パニック障害がある時は、予定があるだけで緊張することがあります。
仕事、家事、用事、人付き合いをすべて詰め込むと、心が休まる時間がなくなります。
次に、睡眠を優先することです。
寝不足の時は、不安感や動悸が出やすくなります。
夜更かしを減らす、寝る前にスマホを見すぎない、カフェインを控える、寝る前に仕事の連絡を見ないなど、小さな工夫でも構いません。
そして、「今日はここまで」と決めることです。
頑張りすぎる人は、終わりを決めずに動き続けてしまいます。
だからこそ、最初から終わりの時間や作業量を決めておくことが大切です。
発作が起きそうな時は頑張らない
パニック発作が起きそうな時に、「ここで負けてはいけない」と思って無理をする人がいます。
でも、発作が起きそうな時こそ、頑張らないことが大切です。
まずは安全な場所に移動します。
座れるなら座ります。
水を一口飲みます。
ゆっくり息を吐きます。
深く吸おうと頑張るより、細く長く吐くことを意識してください。
そして、心の中でこう言ってください。
「今は不安の波が来ているだけ」
「無理に止めなくていい」
「少しずつ落ち着けばいい」
「頑張らなくて大丈夫」
パニック発作はとても怖いものですが、強い不安の波にはピークがあります。
発作を無理に押さえ込もうとすると、かえって体が緊張することがあります。
「頑張って止める」より、「安全な場所でやり過ごす」ことを意識しましょう。
仕事を頑張りすぎている人へ
仕事を頑張りすぎてパニック症状が出ている人は、早めに働き方を見直すことが大切です。
特に、次のような状態がある場合は注意してください。
・出勤前に動悸がする
・通勤電車が怖い
・会議中に発作が起きそうで不安
・休憩中も仕事のことを考えている
・帰宅後も緊張が抜けない
・休日も仕事の連絡が気になる
・朝起きるのがつらい
・仕事を考えるだけで息苦しくなる
この状態で無理を続けると、職場そのものが不安の対象になってしまうことがあります。
可能であれば、上司や人事、産業医、医師に相談し、業務量、勤務時間、通勤方法、休職や時短勤務などを検討しましょう。
「まだ働けるか」ではなく、
「このまま続けて悪化しないか」
という視点で考えることが大切です。
家事や育児を頑張りすぎている人へ
パニック障害は、仕事だけでなく、家事や育児の頑張りすぎでも悪化することがあります。
家のことは、終わりが見えにくいものです。
掃除、洗濯、食事、買い物、子どもの世話、家族の予定、親の介護。
やることが多すぎると、休む時間がなくなります。
「家族のために頑張らないと」と思う人ほど、自分の体調を後回しにしてしまいます。
でも、あなたが倒れてしまったら、家族も困ります。
家事を減らす。
完璧な食事を目指さない。
掃除を毎日しない。
宅配や冷凍食品を使う。
家族に役割を分ける。
頼れる人に頼る。
これは手抜きではありません。
回復のための工夫です。
周りに理解されない時
パニック障害で頑張りすぎてしまう人の中には、周りに理解されず、さらに無理をしてしまう人もいます。
「気にしすぎ」
「もっと強くならないと」
「みんな大変なんだから」
「考え方の問題では?」
「休めば治るでしょ」
このように言われると、自分を責めてしまいます。
でも、パニック障害は本人の気合いだけでどうにかなるものではありません。NCNP病院でも、パニック症は急激な不安と動悸などの身体症状を伴う発作を繰り返し、予期不安によって生活に大きな支障が生じることがあると説明されています。
理解してくれない人に、すべてをわかってもらおうとしなくても大丈夫です。
まずは、医師、カウンセラー、家族、友人など、否定せずに話を聞いてくれる人につながることが大切です。
受診を考えた方がいいサイン
次のような状態がある場合は、早めに心療内科、精神科、またはかかりつけ医に相談しましょう。
・パニック発作を繰り返している
・動悸や息苦しさが何度も出る
・発作が怖くて外出を避けている
・電車、車、人混み、職場が怖い
・仕事や家事に支障が出ている
・眠れない日が続いている
・過労で限界を感じている
・気分の落ち込みが続いている
・何をしても楽しくない
・消えてしまいたいと思う
・胸の痛みや失神しそうな感覚がある
胸の痛み、強い息苦しさ、失神しそうな感覚、今までにない症状がある場合は、パニック発作だけと決めつけず、体の病気がないか確認することも大切です。
また、消えてしまいたい、死にたい、自分を傷つけたいという気持ちがある場合は、ひとりで抱え込まず、すぐに医療機関や相談窓口につながってください。
まとめ:パニック障害の人は「頑張りすぎない練習」が必要
パニック障害は、気持ちの弱さや甘えで起こるものではありません。
ただし、頑張りすぎ、過労、睡眠不足、強いストレスが続くと、心と体が緊張し続け、動悸、息苦しさ、めまい、不安感が出やすくなることがあります。
頑張りすぎる人は、限界に気づくのが遅くなりがちです。
「まだ大丈夫」
「もっと頑張れる」
「休んではいけない」
そう思っている時ほど、体はすでに悲鳴を上げているかもしれません。
パニック障害の回復に必要なのは、さらに頑張ることではありません。
休むこと。
睡眠を整えること。
予定を減らすこと。
助けを借りること。
発作を無理に押さえ込まないこと。
不安があっても安心できる経験を増やすこと。
頑張りすぎてきた人にとって、「頑張らない」は難しいことかもしれません。
でも、頑張りすぎないことは、怠けることではありません。
自分の心と体を守るために必要な力です。
今まで十分頑張ってきたからこそ、これからは少しずつ、休む練習をしていきましょう。
「頑張らなければ価値がない」わけではありません。
あなたは、休んでいても、弱っていても、大切な存在です。
まずは今日、ひとつだけ予定を減らす。
少し早く寝る。
誰かに「つらい」と伝える。
それだけでも、回復への一歩になります。
