「更年期に入ってからパニック発作のような症状が増えた」
「急に動悸がして、息苦しくなり、このまま倒れるのではと怖くなる」
「ホットフラッシュなのか、パニック発作なのかわからない」
「更年期とパニック障害は関係があるの?」
このように悩んでいる方は少なくありません。
更年期には、のぼせ、ほてり、発汗、動悸、息切れ、めまい、不眠、不安感、イライラ、気分の落ち込みなど、さまざまな不調が出ることがあります。日本産婦人科医会でも、更年期障害ではホットフラッシュや発汗のほか、冷え、めまい、頭痛、動悸、息切れ、イライラ、不安感、不眠、抑うつ、疲労感など、人によってさまざまな症状があると説明されています。
一方、パニック障害では、突然強い不安や恐怖が起こり、動悸、息苦しさ、めまい、冷や汗、震え、胸の苦しさなどが出ることがあります。NCNP病院でも、パニック症は急激な不安と動悸などの身体症状を伴うパニック発作が突然生じることを繰り返し、予期不安によって生活に支障が出ることがあると説明されています。
つまり、更年期の症状とパニック発作の症状は、重なる部分が多いのです。
そのため、「これは更年期だから仕方ない」と決めつけることも、「全部パニック障害だ」と思い込むことも危険です。
大切なのは、体の変化と心の不安の両方を見ながら、必要に応じて婦人科、心療内科、精神科、内科などに相談することです。
更年期にパニック症状が出やすくなる理由
更年期は、女性ホルモンの変化によって心身が不安定になりやすい時期です。
特に、急に体が熱くなる、汗が出る、胸がドキドキする、眠りが浅くなる、気分が落ち込みやすくなるなどの症状があると、それ自体が不安のきっかけになります。
たとえば、突然ホットフラッシュが起きて、顔が熱くなり、汗が出て、心臓がドキドキする。
その瞬間に、
「何か大きな病気では?」
「このまま倒れるのでは?」
「人前でおかしくなったらどうしよう」
と考えてしまうと、不安が一気に強くなります。
すると、呼吸が浅くなり、さらに動悸や息苦しさを感じやすくなります。
このように、更年期の体の変化がきっかけになり、パニック発作のような不安の波につながることがあります。
更年期症状とパニック発作は似ている
更年期症状とパニック発作は、体に出る反応が似ています。
どちらも、
・動悸
・息苦しさ
・発汗
・めまい
・ほてり
・胸の苦しさ
・不安感
・眠れない
・体の緊張
・気分の落ち込み
などが出ることがあります。
厚生労働省の女性の健康推進室ヘルスケアラボでも、更年期障害チェックの項目に、顔のほてり、汗、冷え、息切れ・動悸、不眠、イライラ、憂うつなどが挙げられています。
そのため、症状だけで「更年期」か「パニック障害」かを自分で見分けるのは簡単ではありません。
ただし、パニック発作では、急激な恐怖感や「このまま死ぬのでは」「コントロールできなくなるのでは」という強い不安が伴うことがあります。また、一度発作を経験すると、「また起きたらどうしよう」という予期不安が強くなり、外出、電車、車の運転、人混み、美容院、歯医者などを避けるようになることもあります。
更年期だと思っていたらパニック障害だった場合
更年期世代の方が、動悸や息苦しさ、不安感を感じた時、「年齢的に更年期だから仕方ない」と考えることがあります。
もちろん、更年期による影響は考えられます。
しかし、発作のように突然強い不安が出る、また発作が起きるのが怖くて行動範囲が狭くなる、電車や車、人混み、外出が怖くなるという場合は、パニック障害や不安障害が関係している可能性もあります。
特に、
・急に強い恐怖が出る
・動悸や息苦しさが怖くて外出できない
・発作が起きそうな場所を避けている
・一人でいるのが不安
・電車、車、渋滞、レジ待ち、美容院が怖い
・「また発作が起きたらどうしよう」と常に考えている
このような状態がある場合は、更年期だけで片づけず、心療内科や精神科に相談することも大切です。
パニック障害だと思っていたら更年期症状だった場合
反対に、「これはパニック障害だ」と思っていた症状の背景に、更年期による体の変化が関係していることもあります。
たとえば、急なほてり、寝汗、不眠、月経周期の変化、気分の波、疲労感、動悸、めまいなどがある場合、更年期症状として婦人科で相談できることがあります。
更年期障害は、我慢するしかないものではありません。
日本産婦人科医会も、更年期障害について「あまり我慢せず、気軽に、婦人科を受診しましょう」と案内しています。
婦人科では、ホルモン補充療法、漢方薬、生活改善のアドバイスなど、症状に応じた対応を相談できる場合があります。
「更年期だから耐えるしかない」と思い込まず、つらい症状がある時は相談してよいのです。
更年期の不眠がパニック症状を強めることもある
更年期とパニック障害を考えるうえで、特に大切なのが睡眠です。
更年期には、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、眠りが浅い、寝汗で起きるなど、睡眠の不調が出ることがあります。
睡眠不足が続くと、心と体は緊張しやすくなります。
その結果、ちょっとした動悸や息苦しさにも敏感になり、「また発作が起きるかもしれない」と不安が強くなることがあります。
パニック障害がある人にとって、睡眠不足、過労、ストレスは大きな負担になります。
更年期に入ってからパニック症状が増えたと感じる人は、まず睡眠の状態を見直すことも大切です。
更年期世代のパニック症状で注意したいこと
更年期世代の動悸や息苦しさは、すべてが更年期やパニック障害とは限りません。
年齢的に、血圧、心臓、甲状腺、貧血、耳の病気、睡眠障害、薬の影響など、別の原因が関係していることもあります。
特に、次のような症状がある場合は、早めに医療機関に相談してください。
・胸の強い痛みがある
・失神しそうになる
・息苦しさが強い
・動悸が長く続く
・脈が乱れる感じがある
・めまいが強い
・突然の激しい頭痛がある
・手足のしびれや麻痺がある
・今までにない症状が出た
「いつものパニックかも」「更年期だから」と自己判断せず、体の病気がないか確認することはとても大切です。
更年期とパニック障害が重なる時の対処法
更年期とパニック症状が重なっている時は、「心だけ」「体だけ」と分けて考えすぎないことが大切です。
体の変化が不安を強めることもあります。
不安が体の症状を強めることもあります。
だからこそ、両方から整えていくことが必要です。
まず、無理をしすぎないことです。
更年期世代は、仕事、家庭、親の介護、子どものこと、自分の将来など、責任が重なりやすい時期でもあります。
「これくらい我慢しないと」
「家族に迷惑をかけられない」
「仕事を休めない」
「年齢のせいだから仕方ない」
そう思って頑張り続けると、心と体が限界を超えてしまうことがあります。
発作が起きそうな時の落ち着き方
更年期のほてりや動悸をきっかけに、不安が強くなった時は、まず「これは危険のサイン」と決めつけないことが大切です。
次のように、今の状態を言葉にしてみてください。
「今、体が熱くなっている」
「今、動悸を感じている」
「今、不安の波が来ている」
「でも、すぐに結論を出さなくていい」
「まずは座って、ゆっくり息を吐こう」
不安が強い時は、深く吸おうとするより、ゆっくり吐くことを意識します。
息を吸おうと頑張りすぎると、かえって呼吸が苦しく感じることがあります。
細く長く吐いて、吐いた分だけ自然に吸う。
それだけでも十分です。
可能であれば、涼しい場所に移動する、水を一口飲む、首元をゆるめる、座って休むなど、体への刺激を減らしましょう。
更年期のパニック症状を軽くする生活の工夫
更年期とパニック症状が重なっている時は、生活を完璧に整えようとしなくて大丈夫です。
まずは、負担を少し減らすことを考えましょう。
・睡眠時間を確保する
・予定を詰め込みすぎない
・空腹を避ける
・カフェインを摂りすぎない
・アルコールを控えめにする
・暑さや寒さを我慢しすぎない
・軽い散歩やストレッチをする
・深呼吸や腹式呼吸を取り入れる
・体調の波を記録する
・月経周期やホットフラッシュの有無を記録する
・家族に症状を説明しておく
特に、記録をつけることは役立ちます。
「どんな時に動悸が出るのか」
「睡眠不足の翌日に不安が強いのか」
「ホットフラッシュの後にパニック感が出るのか」
「月経周期と関係があるのか」
こうした情報があると、婦人科や心療内科で相談する時にも伝えやすくなります。
婦人科と心療内科、どちらに行けばいい?
更年期とパニック症状が重なっている場合、何科に行けばいいのか迷う人も多いです。
月経周期の変化、ほてり、のぼせ、寝汗、膣の乾燥、不眠、イライラ、気分の波など、更年期症状が強い場合は、婦人科で相談しやすいです。
一方で、突然強い恐怖が出る、発作が怖くて外出を避ける、電車や車に乗れない、一人でいるのが怖い、予期不安が強い場合は、心療内科や精神科で相談することも大切です。
動悸、息苦しさ、胸の痛み、めまいが強い場合は、まず内科や循環器内科などで体の病気がないか確認することも必要です。
どこに行くか迷う時は、まず一番相談しやすい医療機関で構いません。
大切なのは、ひとりで抱え込まないことです。
更年期だからと我慢しなくていい
更年期世代の女性は、体調がつらくても我慢してしまうことがあります。
「みんな通る道だから」
「年齢的に仕方ない」
「病院に行くほどではない」
「気持ちの問題かもしれない」
そう考えて、つらさを抱え込んでしまう人もいます。
しかし、更年期症状も、パニック障害も、適切な相談や治療によって楽になる可能性があります。
我慢することが正解ではありません。
早めに相談することが、自分の生活を守ることにつながります。
まとめ:更年期とパニック障害は症状が重なることがある
更年期とパニック障害は、症状が重なることがあります。
更年期では、ほてり、発汗、動悸、息切れ、めまい、不眠、不安感、イライラ、気分の落ち込みなどが出ることがあります。
パニック障害では、突然の強い不安とともに、動悸、息苦しさ、めまい、冷や汗、震え、胸の苦しさなどが出ることがあります。
そのため、「更年期なのか、パニック障害なのか」がわからなくなるのは自然なことです。
大切なのは、自己判断で決めつけないことです。
更年期症状が強いなら婦人科へ。
発作や予期不安が強いなら心療内科や精神科へ。
動悸や胸の痛み、息苦しさが強いなら内科や循環器内科へ。
必要に応じて、複数の視点から見てもらうことが大切です。
更年期にパニック症状が出ると、とても不安になります。
でも、それはあなたが弱いからではありません。
体の変化、不眠、ストレス、過労、不安が重なって、心と体が敏感になっているだけかもしれません。
無理に我慢せず、休むこと、記録すること、相談することを大切にしてください。
更年期も、パニック障害も、ひとりで耐え続ける必要はありません。
自分の体と心の声を軽く見ず、必要なサポートを受けながら、少しずつ安心できる毎日を取り戻していきましょう。

